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インサイダー:容疑の野村証券社員ら逮捕へ 東京地検

 野村証券の社員が、東証2部上場の富士通子会社など2社の内部情報をもとにインサイダー取引を行っていた疑いが強まり、証券取引等監視委員会は22日、社員ら3人に対し、証券取引法(現金融商品取引法)違反の疑いで、強制調査に乗り出し、事情聴取を始めた。監視委と連携して捜査していた東京地検特捜部は、3人を逮捕する方針を固めた模様だ。

 監視委は同日、関係先十数カ所を捜索し、併せて東京都中央区の野村証券本社などを任意で調査した。

 関係者によると、3人は野村証券の企業情報部に在籍していた中国人の男性社員(30)や、京都大に同時期に在学していた知人の中国人と口座を貸したとみられるその親族。

 社員は現在香港の現地法人に勤務している。社員は企業の合併・買収(M&A)を提案する同部の業務を通じて、東証2部上場の電子部品製造会社「富士通デバイス」が株式交換によって富士通の完全子会社になるという情報を入手。公表前の昨年5月、知人の中国人と計7000株を約1200万円で購入した。

 株式交換では、完全子会社化される会社の株が、付加価値を上乗せした親会社の新株と交換されるため、公表後は子会社の株価が上昇する傾向にあり、インサイダー情報の一つとされる。富士通デバイスは同月24日に完全子会社化を発表し、1655円だった株価が2100~2500円台に急騰。社員らは公表後に売り抜け、約500万円の利益を得た疑いが持たれている。

 さらに社員は、合成樹脂製品製造会社「住友ベークライト」が、東証・大証1部上場だったプラスチックシート製造会社「筒中(つつなか)プラスチック工業」の株を公開買い付け(TOB)し、吸収合併することに合意したという情報を入手。公表前の06年10月に筒中株計1万2000株を約500万円で購入した。

 TOBによる合併合意が発表されたのは同月31日で、436円だった株価は発表後には最高535円まで急騰した。社員らは公表後に売り抜け、約100万円の利益を得たとみられる。

 社員らが買い付けたのは、この2銘柄を含め野村がM&Aの企画・提案をするなどした計21銘柄に上り、約4000万円の利益を得ていたという。

 野村証券は1925年創業。資本金100億円。国内161本支店を持ち、大和証券、日興コーディアル証券と並ぶ3大証券会社の一つ。

毎日新聞 2008年4月22日 15時00分(最終更新 4月22日 15時00分)

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