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野村証券社員ら3人逮捕 M&A情報でインサイダー容疑
このニュースのトピックス:金融業界
野村証券(東京都中央区)の中国国籍の社員が業務を通じて知った企業のM&A(合併・買収)などの情報を悪用してインサイダー取引をしていた疑いが強まり、東京地検特捜部は22日、証券取引法(現金融商品取引法)違反(インサイダー取引)の疑いで、同社社員のレイ・ユ容疑者(30)ら3人を逮捕した。レイ容疑者は昨年12月まで野村証券の東京本社に勤務し、M&Aなどを扱う企業情報部に所属。現在は香港に赴任していたが、同社は同容疑者を22日付で解雇した。不正取引は約20銘柄で利得総額は約4000万円に上るとみられ、特捜部は業界最大手を舞台にした事件の全容解明を急ぐ。
ほかに逮捕されたのは、いずれも中国籍で、レイ容疑者の知人の蘇春光(37)、蘇容疑者の弟の蘇春成(25)の両容疑者。
調べでは、レイ容疑者はソフトウェア開発会社「富士通デバイス」について、平成19年4月ごろ、大手電機機器メーカー「富士通」が株式交換で完全子会社化するという情報を得て、蘇容疑者らにデバイス社株の購入を指示。事実公表前の同5月8日から24日までの間、富士通デバイス株7000株(約1169万円)を購入した疑い。株価は公表後に高騰し、レイ容疑者らが高値で売り抜け、490万円の不正利得を得た。
3人はこうした不正な売買を東証1部上場企業を中心に少なくとも21銘柄で行い、約4000万円の利益を得ていたとみられる。製紙業界最大手の王子製紙が18年7月、北越製紙に仕掛けた敵対的TOBの情報も事前に入手し、北越製紙株などを買い付け、売り抜けて不正な利益を得ていた。
レイ容疑者は10年以上前に来日。留学した京都大を卒業後、別の企業を経て野村証券に転職していた。