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風俗レポーターの何が悪い?

東村山市議、辞職勧告の請願

渋井 哲也(2007-07-06 18:45)
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 東京都東村山市議の薄井政美(うすい・まさよし)氏への辞職勧告を求める請願が、同じ市議の朝木直子氏が紹介議員(住民による請願の窓口となる議員)となって提出され、波紋を呼んでいる。

 この請願は、薄井市議が任期前に動画サイトで風俗レポーターとして登場し、そのときの発言が「セクハラ発言」だと問題視している。これに対し、性風俗産業の労働者の健康や安全を訴えるグループなどは「職業差別だ」と反発し、朝木市議らに抗議文を送った。風俗業界のみならず、研究者やライター、医師などが幅広く抗議に賛同している。

 朝木市議が提出した辞職勧告の請願は2本。

 1回目は6月13日付け。それによると、薄井氏は市議当選後も、アダルト動画サイトにて、実名で登場し、「人妻はカラダを褒めろ」「オマタのバリアフリー化」などセクハラ発言を続け、女性や障害者を差別したとして、市の男女共同参画条例のセクハラ禁止規定違反の観点から、市議としての「最低限の資質に欠ける」とした。

 2回目は6月19日付け。薄井氏は選挙公報のプロフィールに「毎日新聞記者などを経て前職は出版社社員」と記しているが、大手新聞社勤務は1年8カ月で、前職は風俗レポーターだった点を隠した「経歴詐称」にあたる、としている。また、2回目の請願によると、薄井氏は「異なる言論を封殺してきた。その行動姿勢は公人となった現在も同じであり、『少数意見の尊重』『表現、言論の自由』をうたった日本国憲法の精神に反する卑劣」な人物として、議員としての的確性に欠ける、としている。

 さらに、朝木市議と同じ会派の矢野穂積市議は、自らが発行する「東村山市民新聞」ウェブ版で、『「性風俗マニア」違法セクハラ市議特集』というコンテンツを作成。薄井市議が当選前に出演していた動画サイトにリンクを貼ったうえで、薄井市議の言動が「いかに個人の尊厳を傷つけ、いかに改正均等法の立法趣旨に対して挑戦的であって反社会的な、差別意識を隠さないものであるかが歴然としているかが、明らか」と指摘した。矢野市議はまた、「『職業選択の自由』があるからといって、また、「風俗嬢」と客との関係は「契約自由」の関係であって(まさか「恋愛」関係などとはいえないでしょうが)、本人同士の納得づくの問題ということではすまされません」と記載して、朝木市議と共同歩調をとっている。

 なお、指摘されていた動画は現在、削除されている。

「職業差別は許さない!」として立ち上げられたサイト
 こうした動きに対し、性風俗産業の労働者の健康や安全を訴えるグループであるSWASHの代表、要友紀子さんは抗議文を作成すると同時に、「職業差別は許しません」とのサイトを立ち上げた。

 「風俗や風俗に関わる仕事をしている人々を貶めるものです。風俗関連で働く人たちはセクハラを売り物にしていませんし、セクハラを許していません」

 「(薄井氏が当選前に映像に登場していた)インターネット動画サイト内での言動は、風俗情報を知りたいと思う視聴者が自主的、主体的にアクセスして得られる情報なので、それを知りたくないと思う公衆に向けたものではありません」

 7月2日時点で、この抗議文に対する賛同団体は5つ、賛同人231人、賛同メッセージは117通にのぼる。要さんは9日の政策総務委員会を傍聴する予定で、「絶対に否決されると思う」と話している。

 これに対し、「東村山市民新聞」では、「職業差別ではない」と反論。

 「われわれは薄井市議の任期開始後の薄井さんの言行や、選挙運動中の諸問題(「選挙公報」の記載内容など)を論点にしているのであって、職業差別というのは論点を摩り替え」

と主張する。

 9日の政策総務委員会での主な論点は、風俗レポーターとして出演した動画での発言内容がセクハラに当たるのかどうか。そして、それがセクハラを禁止した市条例に違反するのか。また、「出版社社員」との経歴が「詐称」に当たるのかどうか、であろうか。審査が注目される。

(ユナイテッド・フィーチャー・プレス)



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