宝島といえば、俺たちの世代では「ビックリハウス」を抜きには語れない。
あれほど刊行が待ち遠しい雑誌もなかった。
編集部の村田氏は、拙著『クリムゾン・ルーム』の紹介をとっくに決めていてくださっていたらしく、今月25日刊行の「宝島」に、図書紹介が載るそうな。
ありがたい。
本もよく読んでくださっていた。
後は親しく、ITというか、ネットワーク上のエンターテインメントコンテンツの話をいろいろさせていただいた。
岩田嬢に誘われ、半蔵門の料理屋で昼食を摂る。
刺身定食──これが定番らしい。
混んでいる店で、誰しもがごはんをおかわりする。
こちとら、ランチの習慣がないので、三分の二くらいしか食えず、
「もりもり食べられない男の人はつまらないわ」と言われてしまう。
タクシーにて、有楽町へ。
メールで、
「マリオンの談話室を取ってくださったようです」と受け取っていたが、普通、この意味が判るだろうか?
答えは、朝日新聞社記念館の中の「談話室」の中の個室で取材をするという意味だった。
静かなその空間は普段、朝日新聞OBが歓談する場所として許されていて、一般の人は、残念ながら出入りできない。
とにかく静かな落ち着いたラウンジだった。
その中の、狭くもない個室に、後幕をはじめとしていくつものレフ板がセットされていた。
なんと、そこが俺の座る場所だと言うではないか。
プロデューサの渡瀬氏とは先日2時間ほどお話をさせていただいたが、今日の聞き手はライター・作家の中田女史である。
本はもとより、先日のアップルシード・エージェンシーとの対談も熟読しておられ、それを下地として話は進む。
緊張する場面なのだが、カメラマン黒城氏が、
「さっきまで、ホワイト・チェンバーにはまってて、遅刻するところでした。息子はとっくに全部解いてます」と声をかけてくださり、それからも俺のとりとめない座談にいちいちウケてくれたので、とても助かった。
中田女史は6月に幻冬舎から著作を上梓されるとのこと。
渡瀬氏も含め、なんだかんだ、クリエイティブ論で盛り上がった。
この記事は、来月、朝日新聞紙上の大きなコーナーに掲載されるはずだ。
ありがたい。
途中、中座した岩田嬢のことが気になっていた。
「さすがに、一日一緒にいて、同じ話を聞かされるのは骨が折れることだろうな。それにしても、残された俺は心細いじゃないか」などと思っていたのだが、インタビューが終了した後に戻ってきた。
みなさんと挨拶を交わし、退出。
すると、岩田嬢、
「ひどいでしょう?」と自分の左ほほを指さす。「転んじゃったんです」
「どうした?」
「どうしても振り込まなくちゃいけないものがあって、中座して、M銀行を探していたの」
「どれ。よく見せてみろ」
ほお骨の上が、挫傷というか、打撲である。
なんか、光っている。
「薬屋さんで2種類薬を買って、塗ったのよ」
「そらいけないよ。同じような経験がある。病院へ行きな」
「でも、銀座に病院なんてないし、次があるもの」
「いや、いかんな。まず会社に電話して、ここらか、あるいはこれから行く、大門? そこらの外科を検索してもらえよ。専門の外科医は、いい薬をいっぱいもってる。美人が顔に傷をしてたら、仕事にならないぜ」
案外素直に従い、会社に電話している。
「大門のあたりで探してもらいます。さ、行きましょう」
「……俺が汗かきながら話してるのに、断りもなく抜けだした罰だな。軽傷でよかった」
大門では、徳間書店「アサヒ芸能」の副編集長、風間氏にお目に掛かった。
お互いの業界の話など、一時間以上、懇談させていただく。
途中、岩田嬢は浜松町の外科へ。
結果、なんでもなく、何も治療はなかった模様。
「なんにも、なんにもしないのに810円はひどいわ」
「何を言ってるんだい。なんでもなくて良かったじゃないか」
「安心料かしら」
「そうだよ」
「そう考えると、薬屋に払った1,980円のほうが憎くなってきた。それにね、さっきそれを探してて上向いて転んだM銀行が、今行った病院の隣にあったんですよ?!」
「人生は、そんなもんだ」
講談社を訪れる。
22歳の時に投稿原稿を持ち込んだ時以来だ。
ただし、新ビルは、とてつもなく大きく明るくハイテックだ。
「Style──スタイル」編集部を訪問し、隣の部屋に移り、副編集長の松崎氏とライターの越路女史を相手に、まずは拙著の話をし、それから、
「女性の素敵さについて」という特集へのコメントを求められる。あれほど刊行が待ち遠しい雑誌もなかった。
編集部の村田氏は、拙著『クリムゾン・ルーム』の紹介をとっくに決めていてくださっていたらしく、今月25日刊行の「宝島」に、図書紹介が載るそうな。
ありがたい。
本もよく読んでくださっていた。
後は親しく、ITというか、ネットワーク上のエンターテインメントコンテンツの話をいろいろさせていただいた。
刺身定食──これが定番らしい。
混んでいる店で、誰しもがごはんをおかわりする。
こちとら、ランチの習慣がないので、三分の二くらいしか食えず、
「もりもり食べられない男の人はつまらないわ」と言われてしまう。
メールで、
「マリオンの談話室を取ってくださったようです」と受け取っていたが、普通、この意味が判るだろうか?
答えは、朝日新聞社記念館の中の「談話室」の中の個室で取材をするという意味だった。
静かなその空間は普段、朝日新聞OBが歓談する場所として許されていて、一般の人は、残念ながら出入りできない。
とにかく静かな落ち着いたラウンジだった。
その中の、狭くもない個室に、後幕をはじめとしていくつものレフ板がセットされていた。
なんと、そこが俺の座る場所だと言うではないか。
プロデューサの渡瀬氏とは先日2時間ほどお話をさせていただいたが、今日の聞き手はライター・作家の中田女史である。
本はもとより、先日のアップルシード・エージェンシーとの対談も熟読しておられ、それを下地として話は進む。
緊張する場面なのだが、カメラマン黒城氏が、
「さっきまで、ホワイト・チェンバーにはまってて、遅刻するところでした。息子はとっくに全部解いてます」と声をかけてくださり、それからも俺のとりとめない座談にいちいちウケてくれたので、とても助かった。
中田女史は6月に幻冬舎から著作を上梓されるとのこと。
渡瀬氏も含め、なんだかんだ、クリエイティブ論で盛り上がった。
この記事は、来月、朝日新聞紙上の大きなコーナーに掲載されるはずだ。
ありがたい。
「さすがに、一日一緒にいて、同じ話を聞かされるのは骨が折れることだろうな。それにしても、残された俺は心細いじゃないか」などと思っていたのだが、インタビューが終了した後に戻ってきた。
みなさんと挨拶を交わし、退出。
すると、岩田嬢、
「ひどいでしょう?」と自分の左ほほを指さす。「転んじゃったんです」
「どうした?」
「どうしても振り込まなくちゃいけないものがあって、中座して、M銀行を探していたの」
「どれ。よく見せてみろ」
ほお骨の上が、挫傷というか、打撲である。
なんか、光っている。
「薬屋さんで2種類薬を買って、塗ったのよ」
「そらいけないよ。同じような経験がある。病院へ行きな」
「でも、銀座に病院なんてないし、次があるもの」
「いや、いかんな。まず会社に電話して、ここらか、あるいはこれから行く、大門? そこらの外科を検索してもらえよ。専門の外科医は、いい薬をいっぱいもってる。美人が顔に傷をしてたら、仕事にならないぜ」
案外素直に従い、会社に電話している。
「大門のあたりで探してもらいます。さ、行きましょう」
「……俺が汗かきながら話してるのに、断りもなく抜けだした罰だな。軽傷でよかった」
お互いの業界の話など、一時間以上、懇談させていただく。
途中、岩田嬢は浜松町の外科へ。
結果、なんでもなく、何も治療はなかった模様。
「なんにも、なんにもしないのに810円はひどいわ」
「何を言ってるんだい。なんでもなくて良かったじゃないか」
「安心料かしら」
「そうだよ」
「そう考えると、薬屋に払った1,980円のほうが憎くなってきた。それにね、さっきそれを探してて上向いて転んだM銀行が、今行った病院の隣にあったんですよ?!」
「人生は、そんなもんだ」
22歳の時に投稿原稿を持ち込んだ時以来だ。
ただし、新ビルは、とてつもなく大きく明るくハイテックだ。
「Style──スタイル」編集部を訪問し、隣の部屋に移り、副編集長の松崎氏とライターの越路女史を相手に、まずは拙著の話をし、それから、
録音もあり、短くない対話だ。
こういう取材は初めてなので、なんだか戸惑うが、楽しくないかと訊かれれば、すごく楽しかった。
結局自分が、まあ、恥ずかしながら自分の妻を一番神格化していると自覚した(笑。
朝日新聞に負けないセットの中で数百枚写真を撮られる。
誌面に載ったのが「?」だとしても、それは数百枚分の一のものだと思うと、今から凹む。
岩田嬢と、近くのレストランに入り、軽くいっぱいやりながらサラダや軽食などをつまむ。
これまでにない、深い話をする。
改めて、彼女が育ちのよい、素直な人柄であるということを知る。こういう取材は初めてなので、なんだか戸惑うが、楽しくないかと訊かれれば、すごく楽しかった。
結局自分が、まあ、恥ずかしながら自分の妻を一番神格化していると自覚した(笑。
朝日新聞に負けないセットの中で数百枚写真を撮られる。
誌面に載ったのが「?」だとしても、それは数百枚分の一のものだと思うと、今から凹む。
これまでにない、深い話をする。
会社に戻るという岩田嬢と電車の中で別れ、飯田橋へ。
これから取材に行くというエージェントの泉井嬢と落ち合い、今度もまたイタリアンレストランで、シェリー、サーモンマリネ、パスタ、ワイン、コーヒーなどの軽食。
今日の報告。
「掃除しなくちゃな」と思っていた部屋が、妻によって綺麗に掃除されてあり、感謝。
風呂に入っている妻に扉の外から大声で礼を言うと、明るく、
「おつかれさま〜」と笑っていた。
自室に戻り、
「さてさて……」と、隠匿していた酒瓶を取り出そうとすると、そいつらまですべて、いずこかへ綺麗に掃除されていた。
恐れ入りました。