【パリ福井聡】パリのドラノエ市長は21日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と中国の人権活動家、胡佳氏(34)=今月3日、国家政権転覆扇動罪で実刑判決=の2人にパリ名誉市民の称号を授与するよう市議会に提案し、賛成多数で承認された。中国では先週来、仏系スーパー・カルフールでの不買運動など反仏感情が強まっており、称号授与は火に油を注ぐ形となる。
ドラノエ市長は提案理由で、ダライ・ラマを「平和のチャンピオンで、民衆の対話のあくなき提唱者」と称賛し、「パリは、尊厳や自由や生命に関する基本的権利を守ろうとするチベットの人々への支援を示したい」と述べた。
胡佳氏は「言論の自由」を訴えた末に有罪判決を受けたばかりで、チベット問題が紛糾する中、欧米諸国の関心を集めていた。同市長は、北京五輪の聖火が7日にパリを通過した際も市庁舎に「パリは世界のあらゆる人権を擁護する」と記した横断幕を掲げた。
毎日新聞 2008年4月22日 東京夕刊