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KIS問題は解決、本家以上の対応をみせたジャストシステム

「Kaspersky Internet Security」で発生していた問題は、新たな定義データの配信が開始されたことで収束へと向かいつつある。この問題を通して、国内総代理店であるジャストシステムは、本家以上の働きをしたといってよいだろう。


 Kaspersky Labsのセキュリティ対策ソフトウェア「Kaspersky Internet Security」(KIS)で4月17日夜半から発生していた不具合については既報のとおりだが、国内総代理店であるジャストシステムは4月22日、カスペルスキー情報サイトを通じて以下のような告知を行った(原文ママ)。

Internet Security 7.0において、4/17夜間に配信したドライバの更新に不具合があり、一部の環境ではWindowsの表示が不正になったり、動作が遅くなる現象が4/17以降に確認されています。4/21 20:00以降の定義データベースの配信で修正しておりますので、現象が発生しているお客様は、最新の定義データベースの適用をお願いいたします。お客様にはご迷惑をお掛けして申し訳ございません。

現象が解決しない場合は、カスペルスキー専用サポートセンターにお問い合わせください。


 つまり、この問題を報じた数時間前に、問題を修正する定義データの配信が開始されていたことになる。ジャストシステム広報IR室の高橋洋氏はITmediaの取材に対し、「定義ファイルの内容やそのリリースタイミングは、各国サーバで基本的に同じ」ということから考えると、この問題についてはグローバルレベルでほぼ同時期に解決が図られたと考えてよいだろう。ただし、この問題の原因は非公表のままで終わりそうだ。すでに問題を修正した定義データも配信されているにもかかわらず、本家サイトではこの問題について告知されていないことから、本家ではこの問題はすでに解決済みであると判断していると推察される。

 しかし、ジャストシステムはこの問題の重要性を認識し、本家に先行する形で情報公開に努めた。もともとジャストシステムは製品力もさることながら、そのサポートにも定評があることで知られるが、単なる総代理店にとどまらないユーザー第一主義の姿勢を貫いているという点で高く評価されてしかるべきである。

 最後に、この件にかんする告知が定義データの配信開始から半日以上遅れてしまった理由を高橋氏は次のように説明している。「4月17日以降、この問題にかんして数件の問い合わせもあり、問題が発生していることは把握していた。当社はすぐに対応を協議していたが、確認などに時間がかかってしまった」

 週末であったことも幸いしてか、多くのKISユーザーがこの問題を知ることなく、新たな定義データの配信を受けたと思われる。約4万台のPCにKIS7.0をインストールしている慶應義塾大学でも、「特に影響は確認されていない」(慶應義塾大学インフォメーションテクノロジーセンター本部課長の金子康樹氏)という。

 「今後、トラブル発生時における情報公開のスピードアップに努めたい」とジャストシステムはコメントしている。

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