日米韓の首脳によって、三国の連携をもう一度強化することが確認された。北朝鮮の「非核化」はなかなか進まない。ここは仕切り直しのつもりで、対話と圧力を駆使して、ことに当たってほしい。
「日韓を成熟した関係に格上げするのが私たちの仕事だ」
「強風にも揺るがない根を張った木のような関係をつくる」
福田康夫首相と李明博大統領は首相官邸で会談した後の記者会見で日韓新時代への決意を語った。
二〇〇五年から途絶えていたシャトル外交(首脳相互訪問)再開の第一弾だ。
両首脳は、青少年の交流、経済・貿易など二国間関係の強化だけでなく、北朝鮮の核問題、地球温暖化など国際的な役割や課題での協力の必要性を強調した。
これまでも、両国首脳の間では「未来志向」の関係確立が何回か言及されたが、実を結ばなかった。今回は「実利」を掲げる李大統領に代わったことで具体的な関係強化ができそうだ。
李大統領はこの直前の訪米で、ブッシュ大統領とも会談して連携強化で合意している。盧武鉉前政権で冷えきっていた日韓、米韓関係は、ひとまず修復された。
もともと、北東アジアの安定に大きな責任を持つ三国だ。この間にきしみがあっては国際的な役割は果たせない。連携強化が確認されたことを歓迎したい。
いま三国の協力が必要なのは北朝鮮の核問題だ。六カ国協議の合意によって、昨年末までに「第二段階の措置」として「すべての核計画の申告」を実施する約束だがいまだ実行されていない。北朝鮮の時間稼ぎもあるが、三国の不一致も原因の一つだった。
今月に入って米朝首席代表会談が行われるなど、動きが出てきたようだが、ブッシュ政権が任期内での成果を焦って安易な妥協をするなら将来に禍根を残す。抜け穴をつくらないためにも、三国の緊密な意思疎通が欠かせない。
日本にとっては、北朝鮮のテロ支援国家指定解除に重大な関心を持たざるをえない。拉致問題の全面解決を左右する大きなカギを握っているからだ。
今回、李大統領は北朝鮮の人権問題重視の姿勢を示すなかで、自国民とともに日本人の拉致問題にも協力する意向を表明した。拉致問題を全面的に解決するには米韓の協力なしでは難しい。
日本政府は、確認された緊密な連携を、具体的な成果に結び付けるよう一層の努力が必要だ。
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