コーヒーを飲みながら、地球温暖化対策について聞く機会を得た。十人ほどの記者を相手に語ったのは、来日したスウェーデンのラインフェルト首相だ。東京でのシンポジウムに合わせて懇談し、気さくな対応に驚いた。
「言い訳はやめて行動すべきだ」。環境先進国の首相らしく、温室効果ガス排出削減へ向けた各国の対策を促した。スウェーデンは炭素税導入などの対策を進め、一九九〇年比で9%も削減したという。
「放っておいたら変わらない。意識的に目標を設ける必要がある」と首相は、国際的な排出削減の踏み込んだ目標設定にこだわった。温暖化対策を話し合う七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の議長国である日本には、重い課題だ。
記者側は「日本にも炭素税の導入が必要ではないか」などと日本の対策の甘さにも水を向けた。これには首相は「うかつに答えると危険」と日本批判を避けた。
こうしたやりとりは、地域社会から遠い話のようだが、そうではない。シンポジウムでは、鉄道への投資や都市機能の集約といった対策が話し合われ、基調講演した鴨下一郎環境相も「低炭素型の街づくりが極めて重要」と強調した。
温暖化対策の焦点は、まさに地域社会の課題である。国の責任にして自治体が逃げるわけにはいかない。