道路特定財源に関する国土交通省の改革本部が、道路財源を使って業務を発注していた所管の公益法人数を、二〇一〇年度までに五十から十六法人とすることを柱とする最終報告書をまとめた。
現状から七割減という大幅な削減だが、解散するのは道路経済研究所、駐車場整備推進機構、道路開発振興センターの三法人にとどまる。その他は道路財源からの支出をやめたり、株式会社化を視野に入れた非公益法人化などを図る。
存続する十六法人については、役員は六十五歳、理事長は七十歳の定年制を導入し、役員報酬を三〜五割カットする。発注業務の見直しやコスト縮減を進めることで、〇六年度に六百七十三億円だった公益法人への道路財源からの支出を一〇年度までに半額以下にする。
また、地方出先機関について、保有する公用車約千四百台を今後三年間で約二割削減するほか、道路特定財源で建設した宿舎約八千戸も今後五年間で約二割を廃止・売却し、新規建設は行わないこととした。
改革本部は、道路特定財源の使途を総点検するため、冬柴鉄三国交相を本部長に二月末に設置された。高価なカラオケセットや電動マッサージチェア、卓球用具の購入など、本来の目的である道路整備とは、かけ離れた使い道が次々に明らかになったからだ。国交省の天下り先になっている公益法人との随意契約で、多額の事業費が支出されていることも問題になった。
当初、六月をめどとした最終報告は、福田康夫首相の指示で二カ月も前倒しされた。冬柴国交相の給与三カ月を自主返納することや国交省幹部職員の訓告処分なども同時に発表された。揮発油税など道路特定財源の暫定税率維持を盛り込んだ税制関連法案の衆院再議決を視野に入れる政府・与党としては、早めに改革方針を示す必要があったといえよう。
しかし、国交省内部や公益法人側には相変わらず消極姿勢がみられるという。改革本部は引き続き存続し、改革を特別監察の対象にして監視を続けるが、これで十分といえるのか。徹底的に無駄遣いなどの問題点を洗い出さなければならない。
公益法人の不透明な随意契約や割高な経費支出などは国交省の問題だけではない。政府は今月一日、各府省庁所管の公益法人の総点検を決め、福田首相は各閣僚に「政治主導で集中点検するように」と指示した。首相は指導力を発揮して、改革を推進することが必要だ。
「学校裏サイト」と呼ばれる携帯電話の掲示板やブログなどで、岡山県内の高校生の約一割が中傷や嫌がらせを受けた経験のあることが、県教委の実態調査で分かった。ショッキングな数字と言わざるを得ない。
学校の公式ホームページではなく、生徒らが独自に開設した電子掲示板が学校裏サイトである。匿名性を悪用した同級生の悪口や個人情報の暴露など、いじめの温床になっていると指摘されることから、県教委が公立の小中高校を対象に二、三月に初めて調べた。
高校生で中傷などを書き込まれたことがあるのは一年11・0%、二年10・0%、三年9・2%。中学生も学年によって9・3%から4・8%、小学四〜六年でも2・3%から0・9%あり、ネットによるいじめの芽が小学生にも広がっていることがうかがえる。
文部科学省の全国調査では、裏サイトは今年一―三月に確認できただけで三万八千二百六十に上っている。子どもたちにとっては大切な情報交換の場かもしれないが、このうち二千サイトで書き込み内容を調査したところ、「キモイ」などの誹謗(ひぼう)中傷の言葉が半数のサイトで見つかった。「死ね」なども27%にあった。とても放っておける状況ではない。
しかし、こういった深刻な実態が、親や教師にどこまで認識されているだろうか。行政側は調査結果を分析し、教育現場や家庭で対策がとれるようにしなければならない。
岡山県は三月、ネット上でのいじめの相談や通報を受け付ける携帯サイトを開設したが、こういったサイトの存在を子どもたちにも周知してほしい。ネットいじめから子どもを守るために、行政、学校、家庭の連携した取り組みが求められている。
(2008年4月21日掲載)