ランニングシャツ
▼「光市母子殺害事件」弁護団会見の映像(7月公判分=全9回)
http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00348/v01642/
※本来は8月中旬にはアップされているはずだったのですが、YAHOO側のサイトの技術的トラブルなどで掲載が大幅に遅れました。申し訳ありません。6回目以降は近日中にアップされる予定です。
前々回(6月)分は会見の時間が短かったために「ほぼノーカット」で掲載しました。今回は「ノーカット」ではなくて「主な発言と一問一答」になっております。
私(綿井)の判断で記者からの質問・弁護団の発言などを一部削除・編集しましたが、 この公判に関わる内容を中心にして私が選んだ「主な発言と一問一答」です。掲載できる映像の時間と回数の関係上、恐らく今後もこの形になると思いますがご了承ください。次回以降は公判後なるべく早くアップできるようにしたいと思います。
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2泊4日という短い日程で米国を往復すると、時差ぼけになる暇もないということがよくわかった。「9・11」から6年になるが、「9・10以前」と「9・12以降」で米国と日本と世界が何をしてきたのか、何をしてこなかったのかということを知る方が重要だ。
さて9月は久しぶりに講演で各地を回る。ほかにはまた広島高裁での公判と取材などで、東京以外の場所で過ごす時間が今月はかなり多くなりそうだ。今週末は名古屋で以下の催し。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~go-kato/90853893/
さてだいぶ遅くなったが、前回7月の「光市裁判」の法廷の中でちょっとした「驚き」があった。被告の元少年が着ている服装だ。午前中の公判の後、昼休みを挟んで午後からの再開の際、彼の服装が変わって、上がランニングシャツ、下は作業ズボンだったという(僕は当日傍聴席にいなかったので見ていない)。
この服装に対して、傍聴していた記者たちの間でも様々な「推測」から「憶測・思い込み」までが飛び交った。「戦闘モードに入った」「調子に乗ってきた」などなど。その後のメディア報道でも同じだ。その服装に対して「ここに反省の情のかけらも見ることは私にはできません」とまで結びつけるテレビキャスターまで。毎回裁判の傍聴記を書いている人たちは、「猛暑とあって…」「梅雨明け直後の広島が暑かったこともあるだろうが…」と単純な想像をしていた。
さて、実際にはこのランニングシャツの向こう側にどんなことがあったのだろう。なぜ彼はそんな服を着ていたのだろうか? いまヤフーにアップされている弁護団会見映像(7月分)の1回目を見てほしい。
http://streaming.yahoo.co.jp/c/t/00348/v01642/v0164200000000392061/
どんな想像をするのも自由だが、想像力をはたらかせることと、憶測や思い込みを話したり書いたりすることは異なる。この事件では被害者遺族の男性に対しては様々な思いや想像力をみんな相当はたらかせるのに、被告の元少年や弁護団には最初から「レッテル・憶測・思い込み・決めつけ」ばかりが飛び交う。もう一切合切すべてが被告の「反省していない」「凶悪犯人・犯行」を示すまるで「証拠」のように扱われる。
ほかにも被告の髪が長いことや、法廷での傍聴姿勢を取り上げたテレビ番組が過去にあった。元少年のことをよく知る人によると、彼が座っていて身体が前屈みになってしまうのは、約8年間も拘置所で正座か安座だけの生活をしているので、イスに長時間座っていると身体が痛くなるからだという。拘置所というところは、手元に置ける服の数は制限があり、それ以外の服の交換だけでもいちいち「願い」を出して、それの許可が下りるまで時間がかかる場所なのだ。
被告の元少年の法廷での表情・顔つき・目線・態度・容姿も含め、「一挙手一投足」にメディアが注目するのは気持ち的にはわからないでもない。しかし、ある細部の事柄から原因や胸中までを結びつけたり、ある事実にむやみに飛びついて勝手に推測するのは、ジャーナリズムや報道とは違うと思う。これでは「小さな事実から、間違った憶測」しか導かない。それがメディアを通じて「社会」や「世間」に拡散する。橋下弁護士の指し示す「社会」や「世間」とはそれで成り立つような世界なのだろう。http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/yamaguchi_hikari_murder/
テレビ番組「トリビアの泉」http://www.fujitv.co.jp/b_hp/trivia/ は笑いのツボとしては僕は好きだが、「トリビアリズム」に走るとニュースや報道で伝えるべき「本質」と「事実」がどんどんかけ離れていく。事実はそもそも複雑な要素で成り立っている。小さな事実を起点にして、さらに大きな事実を探したい。「大事実(メガ・ファクト)」を発見したい。取材や報道の醍醐味はまさにそこにあるはずなのだが、この裁判の報道はまったく違う方向に走り続けている。でも一方で、さすがに「限度を超えた」「これはおかしいぞ」と感じ始めている視聴者・読者・取材者も出てきたようだ。
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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai
映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.littlebirds.net/
DVD発売・各地で上映中
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