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【社会】

善光寺本堂に落書き 聖火リレーまで警備強化

2008年4月21日 朝刊

本堂の板戸に見つかった落書き=20日午前11時、長野市の善光寺で(戸川祐馬撮影)

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 26日の北京五輪聖火リレーの出発地点を辞退した長野市の善光寺で20日午前5時40分ごろ、国宝の本堂に落書きがあるのを寺の堂番(見回りの僧侶)が見つけ、長野中央署に届けた。同署は建造物損壊容疑に加え、文化財保護法違反容疑も視野に捜査している。

 署や寺によると、落書きは本堂北側と西側の回廊の柱と板戸の計6カ所。床から約1メートルの高さに、白い丸などの模様が書かれていた。最大縦80センチ、横60センチ。スプレー缶を吹き付けたとみられる。

 堂番が19日午後11時に見回った時にはなかったという。

 善光寺は境内に24時間自由に出入りできる。本堂の回廊は地面から約2・5メートルで、階段を上って高さ約1メートルの柵を乗り越えれば入れる。堂番とは別に警備会社の警備員が夜間、境内を巡回するが不審者には気付かなかった。

 監視カメラや照明はなく、夜間は人目に付きにくい。

 聖火リレーが終わる26日まで、模倣犯を警戒し本堂周辺に投光器を増設してライトアップ、警備員も増員し警備態勢を強化した。

 長野中央署も10人前後の警察官を配置して警戒する。

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 同寺の若麻績(わかおみ)信昭寺務総長は「文化財を傷つけられ大変遺憾」としつつ、文字のない落書きの真意が不明なこともあってか「18日に出発点を辞退したこととは関係ないと思う」と述べた。

 寺には同日から19日にかけ、電話が200件以上あり、うち9割以上が賛同者だったが、一部に「政治と聖火リレーは分けるべきだ」などの苦言もあったという。

 【善光寺】 552年に仏教伝来と同時に伝わった日本最古とされる阿弥陀(あみだ)如来像が本尊。寺伝によると創建は644年とされるが、諸説ある。平安時代末期から、宗派を超えて全国から信仰を集めた。焼失と再建を10回以上繰り返し、1707年に建てられた現在の本堂は、江戸時代中期を代表する寺院建築として1953年に国宝指定された。98年の長野冬季五輪は、鐘の音で開会が告げられた。北京五輪聖火リレーでは当初、境内が出発式の会場になっていた。

 

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