ニュース: 生活 RSS feed
【明日へのセーフティーネット】声なき声(2) 厳しい雇用 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:「明日へのセーフティーネット」
◆老後、不安でたまらない
大手ガラス製造会社の子会社の工場。磨(す)りガラス製造ラインの片隅で、20代の若者が真っ青な顔で立ちすくんでいた。子供ができたのだという。同じ日雇い契約の大阪市港区の男性(46)は、若者の困惑しきった様子が今も忘れられない。1日休めばすぐ代わりの人が入れられる仕事。若者は「子供をおろす金もない。育てるなんてとてもできない」といった。結局、身ごもった女性と2人、車検切れの軽乗用車で出かけたきり、連絡が取れなくなった。
「フリーペーパーなどでかき集められ、1時間800円、900円でこき使われても、子供を育てる金さえ持てない。そんな国でどうやって少子化を止められますか」。そう語る男性自身、直接雇用の仕事を探し今も求職中だ。
連載では、日本最大の日雇い労働市場である大阪市西成区のあいりん地区が、高度成長を支えた労働者たちの高齢化で、生活保護受給者の街に変容しつつある現実を取り上げた。非正規雇用の先駆といえるかつての日雇い労働者たちの現実は、いまの派遣、契約労働者たちの将来を考えるうえで、避けては通れない。