 新雑誌「名探偵コナン&金田一少年の事件簿」 |
創刊日も発売日も同じライバルの漫画誌「週刊少年マガジン」(講談社)と「週刊少年サンデー」(小学館)が、来年3月19日の創刊50周年を前に、これまでの恩讐を超えてがっちり手を組んだ。両社共同で新雑誌を創刊し、グリコ、ユニクロなど12社との記念商品の開発・販売もスタートした。かつての“少年”たちには垂涎ものの記念グッズ群を紹介する。
両社の共同記念事業は、協力会社12社とともに結成したプロジェクトチーム「チームウェンズデイ」によって運営される。調整役を担う講談社コミック宣伝部の藤田政則部長(44)は「今回のプロジェクトは漫画界全体を盛り上げるためのもの。両社はライバル同士とはいえ、編集や販売の現場では協力関係もある。その付き合いを通じ、どちらからともなく今回の(提携の)話が出た」と経緯を説明する。
歴史的提携の背景には、深刻な出版不況もある。かつてはドル箱とも言われたコミック市場だが、売り上げは1995年をピークに12年連続で減少中。90年代には約3000億円規模だった売上高も、昨年は2204億円にまで落ち込んだ。
出版科学研究所によると、マガジンの発行部数は95年に436万部だったのが、昨年は187万部。サンデーは80年代に200万部を超えたが、昨年は約94万部で、両誌とも部数はピーク時の半分以下だ。
そこで、市場全体を盛り上げようと両社が共同で取り組んだのが今回の事業というわけだ。今月10日には新雑誌「名探偵コナン&金田一少年の事件簿」を創刊。昨年までマガジンに連載されていた「金田一少年の事件簿」とサンデーで連載中の「名探偵コナン」の過去の傑作を集めたもので、第1号は小学館が発行し、以後半年間毎月2回、両社が交互に発売する。
一方、企業12社とのプロジェクトでは、両誌が50年間に生み出した漫画の有名キャラクターたちをモチーフにした商品が順次発売される。以下に紹介するのが、そのグッズの一部だ。
 今年8月にピンバッジ100種類(予価100−200円)を発売予定 |
【玩具メーカー】
カプセル玩具やフィギュアを製造するyujinは、ガチャガチャの景品用玩具として今年8月にピンバッジ100種類(予価100−200円)を発売予定。また、玩具菓子を製造・販売する「すばる堂」、キャラクター文具や雑貨を製造・販売する「サカモト」、「B・L・C」の各社も順次、両誌キャラクターを使ったグッズを発売予定だ。
【セガ】
ゲーム大手の「セガ」は、両誌から「おそまつくん」「タイガーマスク」など50キャラクターを取り上げ、「第1弾・夏の陣」と題し、UFOキャッチャーなどクレーンゲームの景品として今年8月から発売する予定だ。
11月からは「第2弾・冬の陣」も予定しており、両誌から合計100キャラクターが登場する。
【バンダイ】
玩具大手の「バンダイ」は記念メダルを発売。直径25ミリ、8.7グラムの純金製(7万8750円)と直径50ミリ、46グラムの純銀製(1万2600円)の2種類で、両誌から毎月それぞれ1作品のキャラクターをピックアップし、1年間にわたり発売する。初回分はマガジンから「巨人の星」の星飛雄馬、サンデーからは「タッチ」の浅倉南、と両誌の2大スターが早くも登場。第2弾は『あしたのジョー』の矢吹丈と『まことちゃん』だ。
完全予約販売のため、「サンデー&マガジン50周年記念オフィシャル通販サイト」(http://www.sun−magashop.net)など通販サイトでの申し込みが必要。第1回の申し込み期限は今月30日。
 『まことちゃん』記念メダル |
 『あしたのジョー』記念メダル |
【グリコ】
「江崎グリコ」は、人気のチョコレート菓子「ジャイアント・ペロティ」(オープン価格、参考店頭価格105円)の特別版を発売した。
開発をひとりで担当した菓子開発企画部の丸山裕輔氏(32)は「漫画好きの親子が一緒に楽しめるよう、古いものから新しいものまで12種類を取りそろえた」という。
30代の丸山氏にとって思い入れがあるのは『はじめの一歩』『名探偵コナン』『パトレイバー』などだが、「なじみが薄いマンガも、連載時の社会状況などを含めて会社の先輩らから聞いてまわった」と語る。開発にあたっては「マンガミュージアムやマンガ喫茶に1日中入り浸り、12作品のほぼ全巻を読破した」という力の入れようだ。
完成した商品は、チョコの表面にキャラクターがプリントされているほか、台紙の表裏や棒などにも細かい“仕掛け”が施されている。同社広報では「今後も『天才バカボン』や『うる星やつら』など、新タイトルを順次発表していく」としている。
 「巨人の星版のジャイアント・ペロティ」(オープン価格、参考店頭価格105円) |
 「バカボン版のジャイアント・ペロティ」(オープン価格、参考店頭価格105円) |
 「コナン版のジャイアント・ペロティ」(オープン価格、参考店頭価格105円) |
【ユニクロ】
アパレルブランド「ユニクロ」では、両誌のキャラクターをあしらったTシャツを先月19日から全国に約780ある店舗とオンラインストアで発売中だ。両誌の発売日でもある毎週水曜日に新作が売り出され、来年の3月19日までの1年間、56週にわたって計84種類の限定Tシャツが登場する。
 両誌のキャラクターをあしらったTシャツ |
両誌の膨大なキャラクターの中から、ユニクロの男性社員が柄を選定。「20代後半から30代前半の男性社員の意見を中心に、女性も着やすいキャラクターを選んだ」(ユニクロ広報)という。
第1弾はサンデーから「名探偵コナン」「らんま1/2」、マガジンからは「ゲゲゲの鬼太郎」や「タイガー・マスク」などそれぞれ5作品ずつが発売されたが、何と言っても目玉は“コラボ物”。
「たとえば、虎つながりで『うる星やつら』のラムちゃんと『タイガー・マスク』。ボクシングで『あしたのジョー』と『はじめの一歩』などのコラボを行います。今後、さまざまなコラボ柄が登場するので、要チェックです」(同)
サイズはSからXLまでの4種類で、価格は1500円。
【エポック社】
野球盤を発売している玩具メーカーのエポック社は、『タッチ』『巨人の星』など両誌の野球マンガのキャラクターが登場する特別野球盤(予価6300円)を今夏発売する。
カードゲームの要素も導入し、「花形満Vs上杉達也」という夢のカードも実現する。「現在サンデーで連載中の『MAJOR』やマガジンの『ダイヤのA』などのキャラクターも登場予定」(同社広報)だ。
【タカラトミー】
玩具大手のタカラトミーは「コナン&金田一」の「人生ゲーム」と、両雑誌の人気キャラが活躍する「モノポリー」を夏以降に発売する。
【コナミ】
ゲームソフトメーカーのコナミは、時期未定ながら両誌のキャラクターが登場するゲームを発売する予定。内容は「現在、協議中」(同社広報)。
【コカ・コーラ】
年内をめどに共同企画に基づく商品を開発・発売するという。
 「週間少年サンデー」の主な作品(クリックで拡大) |
 「週間少年マガジン」の主な作品(クリックで拡大) |
ZAKZAK 2008/04/21