中朝国境で流行する「人間サファリ」(下)
【特集】天国の国境を越える
- 鴨緑江の河口近くにある中国・丹東では、「人間サファリ」と名付けたツアーが盛んに行われている。北朝鮮側の島・于赤島に近づき、北朝鮮の住民たちに向かって食べ物を投げ、それを拾って食べる様子を見て楽しむというものだ。写真の女性は食べ物が入った袋を無視したが、再び取材班が近づいたときには袋は消えていた。/写真=朴鍾仁(パク・ジョンイン)記者
案内人は于赤島の2メートル手前まで船を近づけ、島の周囲を回った。そしてついに島に船を止めた。北朝鮮の領土に船が停泊したのだ。案内人がソーセージをつまんで投げた。すると次の瞬間、二人の男性が茂みの中から飛び出し、急いでソーセージをポケットに入れた。案内人が投げたたばこもすぐに消えた。「こんにちは。わたしたちは韓国から来ました」。取材班があいさつしたが、彼らは無言のまま茂みの中へ消えた。「驚かないんですか」と案内人がささやいた。5分ほど歩くと、水辺で女性たちが洗濯をしていた。案内人が食べ物の入った袋を投げた。「こんなことしないでよ。わたしたちは乞食ですか」。女性は怒り、洗濯物だけ抱えてその場を立ち去った。だが、30分後に再び船で近づくと、食べ物が入った袋は消えていた。「さっきは幹部が監視していたから、怒ってみせたようだ」と案内人は言った。
ツアーはまだ終わらなかった。土手を越えると、「21世紀の太陽・金正日(キム・ジョンイル)将軍万歳!」というスローガンが書かれたレンガ造りの家が十数軒見えてきた。「宣伝用の幹部の家です。金日成(キム・イルソン)主席が死ぬ前に、人民に三つの物を与えたいと言っていました。白いご飯、肉のスープ、それに幹部の家です」
しばらくして、川べりに別の男性が現れた。案内人が「党の幹部だ。絶対に韓国語は話すな」と警告した。「金をくれ」「ボールペンやたばこをくれ」などと口にする幹部に対し、案内人はいら立っていた。「お前らは何でもくれというのか!」。さらに400メートルほど進むと、3人の子どもが手を振り、指で金を数えるしぐさをした。案内人は再び「あっちへ行け!」と怒鳴った。90分間の船旅で、さらに十数人の北朝鮮の住民に会った。彼らは黙って近づき、食べ物を持ち去っていった。
すっかり監視が緩くなった国境を越え、今日も北朝鮮を脱出する人たちがいる。そして、脱出できない人たちはこうして動物扱いをされているのだ。
特別取材班
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