2006年9月12日

知事らの行政責任の判断を回避した最高裁の上告受理申立不受理の決定に、強く抗議する。
上告棄却は不当であるが、県同教への教諭派遣は違法とする原告の実質勝訴は確定した。
福岡県教委は、県同教への違法派遣が確定したことを真摯に受けとめ、速やかに「同和」教育行政の抜本的是正をしなければならない。
9月11日、最高裁より、原告の上告受理申立について不受理の決定書(書面の日付は9月8日付)が届き、上告審の棄却が決定しました。
結果として2005年10月17日の福岡高裁の判決が確定します。
この高裁判決は、知事らに賠償義務までは命じなかったものの、以下にみるとおり実質的には原告住民勝訴の判決でした。
福岡高裁判決は、県同教への教諭派遣は違法として
県同教への教諭派遣は県同教の運営を担うことを主たる目的にしていた
県同教に解同役員が常時就任し、解同との事業の共催等連携を図っており、教育の中立性の要請から研修先の適正に疑念を生じさせる
研修の名目で、同和教育団体である県同教の運営を担う目的で教諭を派遣することは法(教育公務員特例法第20条3項)の趣旨を大きく逸脱し、違法と断ぜざるを得ない
派遣に関する職務命令、派遣教諭への給与支出は違法と解される
給与支出の県の損害は、教諭派遣と給与支出に関与した者も責任の有無が問われる
派遣の違法性の内容、程度は、教育行政に課せられる法的に適正な職務執行義務に反し、客観的には著しく合理性を欠き予算執行の適正確保の見地から看過し得ない
と判断しました。
しかし、麻生渡県知事に県同教派遣教諭の給与支払いに関して故意又は過失を認めることはできない、小柳正之教育委員長に関する訴えは不適法として、2人に1億8705万円の返還を命じた一審・福岡地裁判決を取り消したものでした。
最高裁の決定で、この高裁判決は確定しました。
高裁判決は知事と教育委員長の県への損害賠償の責任を否定したものの、県教委が長年、解同と図って推進してきた県同教体制、同和教育行政のあり方を違法と断罪したものです。
福岡高裁判決は、原告の主張をほぼ認める内容であり、原告とたたかった福岡県民の勝利といえます。
私たち原告は、県知事及び県教委が高裁判決の趣旨を真摯に受けとめ、速やかに歪んだ同和教育行政を抜本的に是正することを要求し、声明とするものです。