道路特定財源を原資とする道路整備特別会計(道路特会)から多額のタクシー代と残業代が国土交通省の出先職員に支払われていた問題で、同省は地方整備局の業務形態などを見直して支出を大幅に削減することを決めた。1人で年間490万円のタクシー代を使っていたケースもあり、残業時間を抑制し、タクシーでの深夜帰宅も減らす考えだ。
地方整備局のタクシー代を巡っては、関東地方整備局道路計画1課の職員7人が、07年4月~08年2月に計1134回利用、約2200万円が道路特会から支出された。1人当たりの代金は490万~190万円に上った。
一方、残業代は、近畿地方整備局道路部への支出が多く、02年度で計1559時間残業し、450万円の支出を受けた職員もいた。
残業で深夜帰宅が多くなり、タクシー利用が増える構図だが、490万円分のタクシーを使っていた関東地方整備局の職員の残業時間は11カ月で295時間にとどまっており、超過勤務命令やタクシー利用の運用実態は不透明だ。
このため、冬柴鉄三・国交相の指示で、同省はタクシー利用を厳しく制限し、利用基準を統一した。特定の部署に仕事が集中しないよう業務配分も見直す。人員配置の変更や宿舎の借り上げも検討して支出の削減を目指す。ただ、タクシー代や残業代を道路特会から支出することについては継続するという。【田中謙吉】
毎日新聞 2008年4月20日 2時30分