「離婚後300日以内に誕生した子は前夫の子」と推定する民法772条(離婚後300日規定)により戸籍のない子供の親たちが20日、東京都内に集まり、無戸籍児家族の会を発足させた。会合では、規定の見直しを国などに働きかけるため、ホームページを設けるなどして同じように悩む親たちのために相談に乗ったり、情報を共有していくことを確認した。
規定をめぐっては、法務省が昨年「離婚後妊娠」に限り「現夫の子」の届けを認める通達を出した。しかし、「離婚後妊娠」は1割程度とされ、多くは裁判などを経なければならない。前夫との関係から裁判ができない場合もあり、こうした事情などから子供が無戸籍となっている。
会は、英国在住の女性らを含め、38家族123人で結成。この日は東日本支部の会合が開かれ、東京や埼玉、千葉などの8家族18人が参加した。「事情を説明しても裁判官が理解してくれない」(千葉県の30代女性)、「前夫に『裁判をしたら家に火をつけてやる』と脅された。協力してくれず、調停もできない」(京都市の38歳女性)など、体験が語られた。
予定日より約2カ月早産で男児を出産し裁判手続きを余儀なくされた東日本支部代表の主婦、川村美奈さん(39)=東京都墨田区=は「法務省の通達では不十分だ。一日も早く戸籍に登録されるようにしていきたい」と話した。【工藤哲】
毎日新聞 2008年4月21日 東京朝刊