チベット問題の波紋が、日本にも広がっています。長野市で26日に行われる予定だった北京オリンピックの聖火リレー。ところが、善光寺がチベット問題への抗議を理由に、スタート地点の辞退を発表。ルートの見直しを迫られる事態となりました。
「安全の問題でございますし、そしてまたもちろんチベットの問題もございます」(善光寺 若麻積信昭 寺務総長)
善光寺の幹部は18日昼前、聖火リレー実行委員会にスタート地点の辞退を伝えました。
「1998年2月14日に善光寺の鐘、あの鐘がスタート」(善光寺 若麻積信昭 寺務総長)
長野オリンピックの開会式にも登場した善光寺。あれから10年、再び平和の祭典にという計画は、チベット問題にかき消されました。
「同じ僧侶に対する弾圧。困ったというか憂慮している。1日100件を超えるような電話がございました。正直言って(リレー出発点を)支持する、やるべきという意見は全くございませんでした」(善光寺 若麻積信昭 寺務総長)
これで長野での聖火リレーは、8日前にスタート地点とルートの一部が変わるという、異例の事態になりました。
「(スタート地点)返上したんですか…長野オリンピックがあったのでここから出発してほしかった」(参拝者)
「(チベットと)同じ宗教者として、善光寺さんの考えもわかる気がする。人権問題考えちゃうよね」(市民)
「(代替案の)いくつかのシミュレーションは持っていますけど、早急に事務レベルで考えていきたい」(聖火リレー実行委 篠原邦彦 事務局長)
混乱が続く聖火リレー。日本でも、計画どおりのリレーはできなくなりました。
Q.善光寺の申し入れを長野市は受け入れたが?
「主催者である長野市と、北京五輪組織委員会が考えて決めること。政府があれこれ言う性格のことではないと思う」(町村信孝 官房長官)
一方、中国外務省は公式なコメントを発表していません。JNNの取材に対し、中国・外務省の担当者は、「まだ詳細は把握していないが、もし寺院側が本当にそんなことを言ったのだとすれば、荒唐無稽でおかしな話だ」と答えています。(18日18:07)