【ロンドン=田村篤士】企業が破綻して社債などが償還されない信用リスクを取引する信用デリバティブ(金融派生商品)市場の拡大が続いている。業界団体の国際スワップ・デリバティブズ協会によると、みなし元本である想定元本は2007年末に62兆ドル(約6400兆円)となり、1年前に比べて8割増えた。世界的な信用収縮で信用リスクへの警戒度が高まるなか、金融機関がリスク回避に向けて活発に取引している。
信用デリバティブとは経営破綻などで債務が返済されない可能性に備え、別の金融機関に保証料を払ってリスクを引き受けてもらう取引。米国の住宅ローン問題を発端にした今回の信用収縮では金融機関経営の不透明感が強まり、それに合わせて信用リスクを活発に取引する流れが強まっている。取引の中心であるロンドン市場では保証料率が跳ね上がり、企業の資金調達コストも押し上げた。(19日 18:11)