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6日の全日本選抜体重別で優勝し、北京五輪出場へわずかな望みをつないだ柔道男子100キロ超級の井上康生(29)=綜合警備保障=が7日、福岡市内で会見し、同級の最終選考会の全日本選手権(29日・日本武道館)に向けた抱負を語った。余計なプレッシャーを回避するため「北京」という言葉を“タブー”にし、奇跡の逆転代表入りが懸かる戦いに100%集中する。
涙の優勝から一夜明けた井上。前夜は身内で祝勝会を行い「おいしいお酒を飲みました。2、3時間しか寝ていない」と眠い目をこすった。それでも「うれしい気持ちですね」と優勝の余韻に浸るご機嫌モードだった。
しかし、質問が北京五輪出場の可能性に及ぶと「それはまあ…とりあえず全日本(選手権)をがんばります」と一転して表情を曇らせた。今回の優勝で北京五輪へかすかな希望をつないだが「余計なプレッシャーはかけたくない」と五輪に対しての言及は避けた。
29日までの約3週間、康生の周囲では「北京」の2文字が禁句になる。ここまでの苦境に立たされたのも過度な重圧が一因だったからだ。父・明さん(61)は「北京、北京と言い続けたことで自分を苦しめる形になった」と話す。父は、6日の試合後も報道陣に対し「限りなくゼロに近いという状況に変わりないことを認識してほしい」とクギを刺し雑音を封印。1月に結婚した亜希夫人(25)を含め井上家では「北京」に関する発言を禁止し、井上への重圧を回避しようと必死だ。
今は「強い思い入れがある」という全日本選手権に集中するのみ。29歳の井上は最近涙もろくなったといい、前日の優勝後に号泣し「泣き過ぎ」という内容のメールが殺到した。「自信と開き直りを持って戦いたい」。再び歓喜の涙を流した時、五輪への扉が開くかもしれない。奇跡の大逆転が実現するその時まで「北京」とは口にしない。
◆野村落選「残念」 ○…井上は過去の五輪をともに戦い、尊敬しているという野村の代表落選について「五輪4連覇という偉業もあったし、残念に思う」。引退も取りざたされるが「本人の口から出ているのかわからない」と前置きした上で「すばらしい柔道家。これからも柔道界のためにやられると思う」と期待した。自身はまだ五輪行きの可能性が残っており、先輩の分まで最後まであきらめずに戦う。
◆谷の会見中止 ○…決勝で敗れながらも5大会連続の五輪出場を決めた女子48キロ級・谷亮子(32)=トヨタ自動車=は、敗戦したため予定していた会見をキャンセル。それでも6日の試合後に所属のトヨタ自動車関係者らと慰労会を行った。参加者によれば「明るい様子だったのですでに気持ちを切り替えたようだった」。敗戦を糧に最大の目標である「ママでも金」に挑む。
(2008年4月8日06時03分 スポーツ報知)