ホーム > スポーツ > スポーツ最新紙面記事

康生 残った!決勝内また一本!復活V

 優勝を果たした井上はインタビューで涙を流す

 「全日本選抜体重別柔道、最終日」(6日、福岡国際センター)

 男子100キロ超級でシドニー五輪100キロ級金メダリストの井上康生(29)=綜合警備保障=が、同階級初制覇を果たした。準決勝で07年世界選手権無差別級覇者の棟田康幸(27)=警視庁=を相手に優勢勝ちを収めると、決勝では僚友の生田秀和(29)に得意の内またで一本勝ち。大会4年ぶり4度目の優勝(100キロ級含む)で五輪代表へ、がけっぷちで踏みとどまった。同階級代表は全日本選手権(29日・日本武道館)後に発表される。

  ◇  ◇

 がけっぷちからはい上がった。僚友・生田との決勝。開始1分28秒、鮮やかに相手の足をはね上げ、畳へとたたき付けた。わき上がる歓声と拍手。「泣かないつもりだった。我慢してたけど、我慢できなかった」。見上げたライトが涙でにじむ。しかし、それは間違いなく北京への光だった。

 今大会の康生はとにかく攻めた。かつての技のキレはない、得意の内またはほとんどが不発に終わった。それでもただ、一本を追い求め、がむしゃらに攻め続ける柔道は間違いなく“世界最強”と呼ばれた男の姿だった。準決勝、100キロ超級の選考において最有力とみられていた棟田との大一番。開始30秒で相手の反則によりポイントが入った。決して守りには入らない。1分15秒すぎには果敢に相手の腕を極(き)めにいくなど、とことんまで勝負にこだわった。

 2月のフランス国際敗退後、もう一度自分の柔道を見つめ直した。北京五輪の代表になるためには体重別と29日の全日本選手権との連続優勝が最低条件となった。封印していたシドニー五輪のビデオを引っ張り出してまで自らを奮い立たせた。連続優勝の条件を満たしたとしても海外で結果を出せなかったことから選出されない可能性はある。だからこそ自分の柔道で“散り”たかった。

 1月にタレントの亜希夫人との結婚を発表してから、初のビッグタイトル優勝。この日もスタンドで見守った最愛の妻に初めて強い姿を見せることができた。「1番苦しかったと思う。文句ひとつ言わず支えてくれた」と、感謝の言葉を並べた。

 全日本選手権では棟田に加え、100キロ級を圧勝した鈴木、左臀部(でんぶ)を痛めこの大会を欠場した石井慧(国士舘大)も出場する見込みだが、可能性がある限りあきらめはしない。「次につながったのは大きい。燃え尽きてもいい。自分の柔道をやる」。道が途絶えるその時までやり抜いてみせる、井上康生の柔道を-。

Copyright(C) 2007 Daily Sports All Rights Reserved.
ホームページに掲載の記事、写真などの無断転載、加工しての使用などは一切禁止します。ご注意下さい。
当サイトは「Microsoft Internet Explorer 4.x」「Netscape Navigator/Communicator 6.x」以上を推奨しています
Email : dsmaster@daily.co.jp