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【スポーツ】

康生残った!100キロ超級V 全日本柔道選抜体重別選手権

2008年4月7日 紙面から

男子100キロ超級生田秀和に一本勝ちで優勝し、笑みを浮かべる井上康生

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 井上康生(29)=綜合警備保障=が北京五輪代表へ、望みをつないだ。100キロ超級の康生は準決勝でライバル棟田康幸(27)=警視庁=を破り、勢いに乗って優勝。このところ不振が続き、代表権を勝ち取るにはこの大会と全日本選手権(29日・日本武道館)で連勝することが条件とされていたが、まずは最初の関門を突破した。女子48キロ級は谷亮子(32)=トヨタ自動車=が2年連続の2位だったものの、北京五輪代表権を獲得。女子52キロ級は3月まで“渋谷の女子高生”だった中村美里(18)=三井住友海上=が初優勝し、五輪代表に選ばれた。

 奇跡の大逆転五輪代表へ、首の皮一枚つながった。決勝では所属先の同僚・生田に生命線の内またが爆発、文句なしの一本勝ち。その瞬間、いろんな思いが込み上げてきて、涙が流れた。

 「優勝したい、ではない。オレが優勝するんだ」。康生は念じ続けた。初戦は190センチ、140キロのモンスター、立山広喜=日本中央競馬会=に的を絞らせず、攻めまくって優勢勝ち。準決勝の相手は、100キロ超級代表争いを大きくリードしている棟田。だが、決め手こそ欠いたが、危ない場面はほとんどなかった。

 負けたら柔道生命さえ問われる大一番。「負けたらどうしようという気はあった。負けることを恐れているところもあった」。だが、出場する7選手を徹底的に研究して臨んだ。その結果、常に釣り手を利かせ、距離をとって戦う方法を選んだ。

 会場のある福岡は、地元・宮崎に近いとあって、スタンドには大応援団が詰めかけた。その中で、課されたノルマの半分まで来た。「ここまで支えてくれた妻(タレント・東原亜紀)に感謝したい。でも、道のりは、『厳しい』の言葉では言い表せないほど厳しい」。依然として大逆転はかなり難しいことに変わりはない。それが分かっているから、本人も笑顔はほとんどなかった。

 最後のノルマ・全日本選手権では、代表最右翼で康生へのリベンジに燃える棟田、この日はけがで欠場したが過去康生に2戦2勝の石井慧(国士舘大)が待ち構える。そして“国内最強”の鈴木桂治にも勝たなければならない。それでも康生は難関を突破し、フェニックスとなれるのか。 (大西洋和)

 

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