五輪=柔道体重別選手権で井上が優勝、北京代表に望みつなぐ

2008年 04月 7日 06:17 JST
 
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 [福岡 6日 ロイター] 全日本柔道体重別選手権の最終日が6日、福岡国際センターで開催され、男子100キロ超級で井上康生が生田秀和を破り優勝した。北京代表選考レースで有力視されている棟田康幸を準決勝で下しての勝利だった。最重量級では北京五輪代表最終選考会となる29日の全日本選手権に望みをつないだ。

 井上は試合後、「研究の成果が出たと思う」と語った。今回の大会に出場するのは1階級当り8人。対象を絞り込みやすかったという。

 1回戦で190センチの巨漢、立山広喜に何度もつぶされながらも内またを仕掛けていった。井上の積極的な攻めに立山に指導が入り勝利。「相手が大きかったので動いて的を絞られないようにした」と振り返った。

 準決勝では07年の世界選手権で優勝し今年のドイツ国際でも優勝するなど今乗っている棟田康幸と対戦。残り4分2秒、腕を決めて転がした。副審2人から注文がつき取り消されたが主審は一本の手を上げたほど。腕固めはとっさの判断だったというが、相手によってつり手で間合いを変えるなど研究の成果が出た。準決勝は1回戦に続き指導ひとつの差という辛勝だったが、決勝では1分28秒、豪快な内またで一本勝ちした。 

 シドニー五輪の100キロ級で金メダルを獲得したが、アテネ五輪では惨敗。100キロ級から100キロ超級へ階級を移したが、05年に右胸の筋肉を断裂するなど、その後の道は厳しかった。07年のフランス国際で優勝したものの、その後はリオデジャネイロ世界柔道選手権大会5位、08年フランス国際5位と国際大会では成績を挙げれないまま終わった。代表争いでは棟田、そして今大会をけがのため欠場した08年チェコ国際優勝の石井慧に遅れを取っている。

 全日本柔道選手権大会関東予選から這い上がり、今回の体重別選手権を制した。最後の選考会となる29日の全日本選手権を、いい内容で優勝することが北京代表獲得の最低条件だと言われている。

 「あきらめるな」というはげましの言葉が一番多かったという井上。「全日本選手権で燃え尽きてもいいくらいの気持ちでないと道は開けない」と話す。今年いっぱいでの現役引退を決めているが、応援してくれる人のためにも夢をまだあきらめるわけにはいかない。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀大記 記者)

 

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