電動アシスト自転車は買い物の足というイメージがあるが、原油高や駐車禁止の取り締まり強化などで社用も増えているらしい。経済産業省の機械統計によると二十数万台が出荷されている。93年に世界で初めて商品化したヤマハ発動機、シェア約40%を占めるパナソニックからそれぞれの最新機種「PASリチウム」「リチウムビビ・DX」を比較した。
電動部が付きデザインはいまひとつという、かつてのイメージも年々よくなっている。PASの代表モデルの車体は93年に31キロだったが、08年には23・8キロに減った。モトクロスタイプや小型折りたたみタイプなど機種も増えた。
出始めは「すぐ電池が切れる」とも言われたが、鉛からニッケル・ニカド、そしてリチウムイオンと電池の進化で、もちもよくなった。
最も売れるタイプとして、女性が使うことが多い「ママチャリ」を比較する。2機種の主な違いは充電池の容量によるもので=表、ビビはPASより大きい。「1回の充電で長い距離を走れるのがビビの大きな売り」とパナソニックサイクルテック営業企画チームの細川洋平さんは話す。だが、容量が小さいPASは走行距離は短いものの、充電が早く、電池価格が安い--などの利点がある。
平らな道では人間をアシストする力が弱くなり、上り坂では強くなる自動調節機能はいずれにも付いている。スイッチを入れたり切ったりする必要はなくなった。
では、乗り心地はどうか。
はじめにPAS、10日後にビビに乗ってみた。こぎ出し時の感触がまず違う。アシスト力がPASは最初弱くてだんだん強くなった。一方、ビビはある時点になると一気にかかるような感じがした。
「なめらかな走りには力を入れています」とヤマハのPAS事業部開発グループの村田和弘さんは言う。モーター制御に工夫をしているためで、PAS独自の技術だという。
乗り心地には好みがあるので、購入前に試乗してみるといいだろう。いずれもホームページ(PASはhttp://www.yamaha‐motor.jp/pas/、ビビはhttp://www.panabyc.co.jp/cs/area_vivi.html)で試乗できる店が検索できる。
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なお、「フル電動自転車」などとして、ペダルをこがなくても走れるタイプもある。外観はアシスト自転車と変わらないが、法律上は原動機付き自転車で、公道を走るには運転免許やバックミラーなどの装備が必要となる。05年には、その点を書かずに売り出した業者が公正取引委員会から排除命令を受けている。購入時には注意したい。【大迫麻記子】
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ヤマハ発動機 メーカー名 パナソニック
PASリチウム 商品名 リチウムビビ・DX
9万9800円 価格 9万9800円
23.8キロ 重量 25.9キロ
4Ah 充電池容量 5Ah
350~450回 充電池のもち 300~400回
約2時間 充電時間 約3時間
2万8140円 充電池の価格 3万800円
38キロ 標準走行距離 53キロ
7種類 カラー 6種類
毎日新聞 2008年4月20日 東京朝刊