長野市内で行われる北京五輪聖火リレーで、出発式の辞退を申し入れた善光寺の担当者は18日、記者会見で「チベット問題への憂慮がある」などと、辞退の理由を語った。
−−辞退を決めた一番の理由は
「善光寺には国宝や重要文化財がたくさんあり、それらや一般信者を守らなければならないということ、安全上の問題だ。そして、チベットの問題への憂慮もある。長野五輪も善光寺の境内で鳴らした鐘から始まった。今回もまた、そこから出発式を始めようという考えもあったが、諸般の事情を憂慮して辞退することにした」
−−チベットの問題に対する見解は
「五輪憲章に人種、宗教、性別、イデオロギーを超えた無差別、つまり平等の理念がある。ああいう問題が起き、それが辞退の原因になった。しかし、われわれは五輪開催への不支持は表明していない。平和の祭典としてやってもらいたい」
−−チベット問題への憂慮とは
「善光寺は仏教、宗教の寺だ。(中国政府が)無差別殺人を行ったということもあるし、チベットの宗教者が立ち上がって、それに対して弾圧を行った。それはやはり憂慮するものであった」
−−善光寺内部では、やるべきだという意見はあったか
「正直に申し上げてこういう状況になってからは、辞退するほうの支持が多く、18日の午前中に特別な会議を行って結論を出し、辞退というのを長野市に申し入れした」
−−辞退は善光寺の総意といっていいのか
「結構だ」
−−一般の人からの抗議はあったのか
「1日100件を超える電話が全国からあったが、99%がやめるべきだというもの。やるべきだというのはまったくなかった。チベットと同じ仏教のお寺でどうしてだ、というものが多かった」
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