【長野県】北京五輪聖火リレーで、善光寺の若麻績(わかおみ)信昭寺務総長が18日、長野市役所を訪れ、市側に出発式会場の辞退を伝えた。若麻績寺務総長ら4人は、リレー実行委員会の篠原邦彦事務局長と会い、約1時間にわたり、辞退を決めた経緯などを説明した。
申し入れ後に会見した若麻績寺務総長は「諸般の事情を考えて決定した」とこわばった表情。一方で「私たちは北京五輪開催を支持しないわけではない。五輪は開いてほしい」と、五輪憲章がうたう世界平和への祈りを込めるように話した。
善光寺の決断に地元では理解を示す声が多く聞かれた。参道で土産店を経営する石坂晃一さん(52)は落胆した様子を見せつつも「チベットの問題を考えたら、実施は難しいと思う」と納得顔。衣料品店主の渡辺一さん(68)も「もっともな判断。境内がコースに入らなくても、市の中心部はどこも善光寺のおひざ元といっていい。中央通りを走るなら、それほど変わりはない」と話した。
食品販売店を切り盛りする大日向直子さん(47)は「びっくり」と目を見開き、「でも何かあると困るし」。埼玉県から来たツアー添乗員の梶田雅彦さん(45)は「危険があるとなるとツアーは中止しなければならない。今回の決定は歓迎したい」と話した。
(戸川祐馬)
長野市で26日に行われる北京五輪聖火リレーについて、県警の石井隆之本部長は18日の県議会総務警察委員会で「県警の総力を挙げて、平穏に行われるよう対処する」と強調した。
石田治一郎氏(自民)が、出発式を予定していた善光寺の式典会場の辞退に触れ「県警には相談があったのか」と質問。徳竹頼正警備部首席参事官は「コースは主催者(実行委員会)が決める。警察がコースを短縮するようなことはなく、決定したコースで万全の警備を期したい」と述べた。
中国側が各国の聖火リレーに派遣している「聖火防衛隊」について石井本部長は、一般論とした上で「わが国の警備は、わが国の警察の責任において行われる」と答えた。
また、総務委員会で浦野昭治総務部長は「県警の万全の警備に、できる限りの財政的措置はしていきたい」と述べた。
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