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【スポーツコラム】中国におもねる日本スポーツ界

2008.4.20 17:23

 4月15日付の産経新聞には政治、経済、外交など多方面の立場からチベット騒乱と北京五輪の関連性を論じる記事がちりばめられていた。

 「開会式欠席は現実逃避」との見出しは各国首脳が相次いで北京五輪開会式欠席を表明したことを受けて、ハドリー米大統領補佐官の「単に開会式に行かないと言って責任逃れをするのではなく、影響力を行使すべきだ」との発言から引き出された。首脳の開会式不参加は政治とスポーツを混同しない巧みな手段とも受けとれるが、中国への効果的な“圧力”とは思えない。米国はブッシュ大統領が開会式への参加をほのめかしていることから、チベット問題を五輪と切り離し、まずは中国当局とダライ・ラマ14世との対話で解決を図ろうとしている。

 日本はどうか。福田首相は「五輪と関連づけるべきではない」としながらも、具体策は打ち出していない。正論では評論家の西部邁(すすむ)氏が「政治はスポーツ」という考えのもと、許されざる民族問題を抱える中国が五輪を開催することを祝うのは「文化的小児病」と問題視。「米中のいずれを宗主とするか、二頭宗主体制もよいのではないか、と構えるような日本の外交は、スポーツ(冗談)のようなものである」と、日本の立場表明を説いている。

 中国については国際面で「騒乱の再発を警戒し、チベット人に対する締め付けを強化している」と現状を伝え、「国際社会から寄せられた批判に対し、中国当局は強硬姿勢を崩していない」。世界経済での自国の強さを盾に、何事もなかったかのように五輪開催を迎えようとする経緯は、食品問題でもみられた中国方式である。

 果たして、人権に限らず無謀な姿勢を貫く国に選手を送り、祭りを祝うことが筋の通ったことなのか。中国への不信感が強まる中、社会面の記事に呆れかえった。スポーツ用品メーカー「ミズノ」会長で日本オリンピック委員会(JOC)の水野正人副会長が中国通信社、新華社の取材に応じたときの発言だ。中国食品の安全性に関し「(日本国民は)少し心配しているにすぎない」とし、「最も心配しているのは五輪入場券を買えないこと」と語った。巨大市場である中国におもねる。商業主義に陥り、日本国民の真意を覆う。これが日本スポーツ界の立場である。(運動部次長 小田島光)

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