西日本新聞

「ステータス」今は昔 若者“車離れ”加速 販売減、レンタカー増

2008年4月20日 00:07 カテゴリー:経済

 若者の車離れが加速している。日本自動車工業会が今月まとめた2007年度市場動向調査で、車所有世帯のうち30歳未満の主運転者(運転頻度が最も多い運転者)の割合が05年度比4ポイント減の7%と、調査開始以来初めて1けたに落ちた。このまま若者の価値観の変化に、自動車業界が追い付けなければ、世界有数の生産拠点・九州の土台も揺らぎかねない。

 人口比率と主運転者の関係をみると、1995年は成人人口に占める20代の比率、30歳未満の主運転者ともに19%。07年は人口比率14%に対し、主運転者は7%。若者の減少以上に若い主運転者が減っている。

 博報堂生活総合研究所の調査で「いま金をかける」対象を「車」とした20代男性は、96年の31%から06年の18%に減少した。

 消費動向に詳しい橘川幸夫・デジタルメディア研究所代表は「インターネットが普及した90年代後半以降、若者の車に対する価値観は、大きく変化した」と分析する。30代後半の団塊ジュニア世代までと、その後のネット世代の間に「溝」があるというのだ。

 バブル崩壊後の厳しい経済環境で育ったネット世代は一般に堅実な消費行動で「持つ」より「使う」を重視するという。車の国内販売が減少する中、全国のレンタカー台数が06年までの10年間で35%増えたのも、その一例で、「使う」市場は着実に拡大している。

 橘川代表は「ネット世代の多くは車を移動手段としてしか見ていない。ステータスシンボル的な価値を強調しても売れない」と言い切る。


=2008/04/20付 西日本新聞朝刊=

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