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【明日へのセーフティーネット】声なき声(4) 制度の矛盾 (2/3ページ)
このニュースのトピックス:病気・医療
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大阪市内の病院で働き、日ごろから生活保護受給者に数多く接触するという看護師は、さまざまな事情で、生活保護を受けなくてはならない人がいることは承知したうえで、あえて『生活保護の人がすべて弱者ではない』と言い切る。年金をかけてこなかった女性が、貯金を親戚(しんせき)の口座に移して、生活保護を受け、親戚に預けた貯金を使って余裕ある暮らしをしているような例を、目の当たりにするからだ。
「ずるい人はたくさんいます。現場で働く者はきれい事ばかり言っていられません」
大阪市内の社会福祉法人で精神障害者の生活支援にあたる精神保健福祉士の女性(39)は、ある程度は働けるのに働かず、生活保護で生活する人が、時間をもてあまし、必要もないのに病院巡りをしたり、ギャンブルに手を出したりする例を見てきた。水道代が無料だったころには、1日に何回も風呂に入るような人もいたという。そんな受給者たちが口をそろえて働かない理由に挙げるのは、「中途半端に働いてもほとんど持っていかれる(返還する)から」だという。
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女性は、施設を利用するようになった人には必ず、「働く人が少しでも増えないと今の制度さえ維持できなくなるよ」と、いうことにしている。可能な限り働くことが、国民の最低の義務だと考えるからだ。そして、生活保護から完全に自立できなくても、できる範囲で働きたいと思わせる仕組みが必要だと訴える。