◎BCリーグ開幕 「スポーツ市民」意識高めよう
プロ野球独立リーグ・BCリーグは、群馬と福井を加えた六チームが参加して二年目の
幕を開けた。昨年、最後まで優勝を争った初代王者の石川ミリオンスターズと二位の富山サンダーバーズをはじめ、各チームには、昨年以上に熱い戦いを期待するとともに、ふるさとに根ざしたプロ集団として「スポーツ市民」の意識を一層高め、地域貢献の面でもトップを競ってもらいたい。
石川ミリオンスターズは、昨年グッドマナー実践都市宣言をした金沢市の先陣を切り、
今年二月に開かれた市民大会で「グッドマナー宣言」をした。学校に理不尽な要求をする「モンスターペアレント」がはびこる中、多くの観客が見守るグラウンドでフェアプレーを実践することで、規範意識やマナーの向上を促す一助になることを期待したい。
富山サンダーバーズは、今シーズンから他の県内プロスポーツチームとともに、県と連
携して親子連れの観戦料を割引するなどして、子供のいる家庭を優遇する「とやま子育て応援団」の周知を図る。さらに球場内で、環境に対する意識を高めてもらおうと、マイカップ持参を呼びかける。観戦に訪れた親子連れらに対して足元からの啓発活動になるだろう。
いずれも昨年から地道に実践してきた貢献活動の幅を一層広げる取り組みと言え、定着
度を見ながら、両チームが互いの企画の良い点を取り入れることにも柔軟であってほしい。また、こうした活動は、地域の野球人口拡大という課題に取り組む意味で、とりわけ重要な少年ファンの獲得にもつながるはずである。
独立リーグの波は全国各地に広がり、今年はBCリーグが北陸と上信越に分かれて争い
、四国・九州アイランドリーグと日本一を競うグランドチャンピオンシップが開かれる。規模が大きくなればなるほど、地域との一体感がチームを押し上げ、根強い人気を獲得する原動力になる。
スポーツにおける地方分権を進めるという意味でも、地元ファンを大切にし、勝利プラ
スアルファの地域への献身的な姿勢が求められる。
◎道路関連法人見直し 公益法人改革の突破口に
道路特定財源の不明朗な使い方が問題になった国土交通省所管の公益法人の改革案がま
とめられた。見直し対象の五十の公益法人を今年度から三年間で十六法人に統廃合し、道路特定財源からの支出を半分以上削減するというが、いわば身内の国交省の見直し案で十分かどうか、国会でチェックしてもらいたい。
全省庁が所管する公益法人は約六千七百法人もあり、国からの補助金を受けているほか
、官僚の天下り先になっている。福田康夫首相は、国の管轄下にあるすべての公益法人を対象に、不適切な支出などがないか「政治主導で集中点検」するよう各閣僚に指示している。その上で、問題のある公益法人の廃止、民営化などを検討する方針という。公益法人の削減は、政府の経済財政諮問会議が六月にまとめる骨太方針にも明記される予定であり、道路関連法人の改革を今後の公益法人改革の突破口としてもらいたい。
今回見直し対象の五十法人を十六法人に絞り込むという国交省の改革案は、統合と株式
会社化も視野に入れた非公益法人化が中心であり、廃止されるのは道路経済研究所など三法人にとどまる。存続法人について、これまで最高約二千百万円だった国家公務員OBの役員報酬を三―五割カットし、役員の在任を六十五歳まで、理事長を七十歳までとする定年制の導入も盛り込んでいるが、改革案として踏み込み不足という声が与党内でも聞かれる。
改革では、天下り規制も徹底してもらいたい。国が管轄する公益法人の理事のうち、所
管官庁からの天下りが占める割合を三分の一以下にすることが閣議決定されている。しかし、総務省のまとめによると、その基準が守られていない法人は今年二月現在で百二十以上もあるという。
公益法人の改革には抵抗も強いが、既に歴史的な役割を終え、公益性が薄くなっている
法人も少なくないと思われる。道路特定財源の見直しに連動する関連公益法人の改革は、福田首相のいう「政治主導の改革」の試金石であり、首相の本気度が試される。