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【主張】学校裏サイト いじめの温床絶つ努力を

2008.4.20 02:35
このニュースのトピックス主張

 携帯電話やパソコンで生徒らがうわさ話などを書き込むインターネット上の「学校裏サイト」が文部科学省調査で3万8000件確認された。

 裏サイトとは、学校紹介の正規のホームページとは別に、非公式に生徒らが学校の情報を書き込む場所だ。内容は個人に対する誹謗(ひぼう)中傷が少なくない。匿名をいいことに悪口を書いてはやし立てるような行為は卑劣だ。実態を深刻に受けとめねばならない。

 調査では、裏サイトは「2ちゃんねる」などネット掲示板の中や小人数の生徒が独自に立ち上げたホームページとしてもあった。

 2000件を抽出して書き込み内容を調べたところ、5割に「キモイ」「うざい」などと個人を中傷する言葉があった。わいせつ表現や「殺す」など暴力をあおるような書き込みも目立つ。

 中高生へのアンケートでは裏サイトの閲覧経験のある生徒は23%だった。書き込んだことがある生徒は3%にとどまるものの、裏サイトをのぞいてみたいという生徒が少なくない。

 裏サイトをめぐっては、個人の連絡先や裸の画像が勝手に流されて悪質ないやがらせを受ける例が過去にもあった。

 いじめの温床と指摘されながら教師は実態をなかなか把握できない。パスワードを知らないと閲覧できないものがあり、調査で確認できない裏サイトも多い。

 ネットや携帯電話での情報交換は便利だが、その裏で、裏サイトのほかにも出会い系サイトを通して犯罪に巻き込まれるケースなどトラブルや事件が増えている。

 石川県野々市町では、親など有志でつくる町民会議が小中学生に携帯電話を持たせない運動に取り組み、喫煙や深夜徘徊(はいかい)など非行減少に効果を上げている。だが、こうした地域ぐるみの取り組みはまだまだ少ない。逆に親同士が電子メールで教師の悪口を広げるという例さえある。

 有害情報を含むサイトの閲覧制限など規制対策には限界もある。調査に協力した群馬大の下田博次教授が指摘するように、まず親の側がネット世界の危険性にしっかり向き合う必要がある。

 ネットやゲームのバーチャル(仮想)世界に親しむ子供たちの実体験不足が懸念されている。自然や現実社会との触れあいを通して豊かな人間関係を育てる重要性を社会全体で再認識したい。

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