韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が訪米し、ブッシュ大統領との会談で米韓関係を戦略的同盟へと強化、発展させることで合意した。関係がぎくしゃくしていた米韓が再び連携を強めることを歓迎したい。
ブッシュ大統領と李大統領の首脳会談は初めて。韓国で10年ぶりの保守政権を率いる李大統領は、2月末の就任直後から米韓関係を重視する立場を強調。「未来志向で戦略的な同盟関係を強固にしていく」と表明していた。就任後初の外遊先に選んだのも米国だった。
米側も李政権の姿勢を評価し、ブッシュ大統領は今回、韓国の大統領として初めてキャンプデービッドの山荘に李大統領を招待した。会談ではブッシュ大統領も「新しい米韓関係をつくろう」と応じた。
米韓両首脳は昨年4月に妥結した自由貿易協定(FTA)の年内批准を議会に促すことでも一致した。北朝鮮の核問題では米韓が連携して核放棄を促すことを確認した。
韓国ではこれまで金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)と左派政権が10年続いた。両政権とも北朝鮮との融和路線を基軸に据えたことから、米政権との意見の食い違いが表面化した。米韓の同盟関係にも亀裂が生じていた。
特に「反米・親北朝鮮」を旗頭に登場した盧前政権は、北東アジアのバランス役を自称し、日米だけでなく北朝鮮や中国、ロシアとも積極的に連携すべきだという外交論を展開した。米国の韓国への不信感は極度に強まっていたといえる。
対する李大統領は米韓同盟について、民主主義と市場経済という共通価値、信頼関係、平和構築といった原則に基づき、21世紀の新たな戦略的同盟に発展させるビジョンを掲げた。今後曲折はあるかもしれないが、原則を曲げずに確固とした米韓関係を築いていってほしい。
米韓同盟の再強化は日本にとっても心強い。日米韓の連携は北東アジアの安全保障の要である。なかでも北朝鮮の核問題や日本人拉致被害者問題を解決するうえで、日米韓の緊密な協力は欠かせない。李大統領は米国に続いて日本を訪問し、21日に福田康夫首相と会談する。今度は日韓の連携を再び強める番だ。