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大阪市の裏金問題、大阪府に飛び火 大阪文化賞・芸術賞でも
大阪市の裏金問題で、新たに不適正な会計があったとされた「大阪文化賞・大阪芸術賞等授賞実行委員会」事業は、1年ごとに大阪府と市が事務局を交代し、事業費の残金をやりとりしていたことが19日、分かった。市は事業費の残金を戻入精算せず、繰り越し口座に積み立てて「不適正」とされたが、府も同じ手法で積み立てていた。府も不適正と認め、調査を行うとしており、市の裏金問題は府に飛び火する事態となった。
府と市によると、事業費は毎年度、府と市が同額を出し合い運営。府と市は正規の事業費をそれぞれの大阪文化賞・芸術賞実行委員長名義の口座で管理。平成12年度までは虚偽のゼロ精算を行い、事業費の残額を府と市の2つの事務局長名義の別口座にそれぞれ繰り入れていた。事務局を担当する年度が終了するたびに、繰り越し口座の残金を相手方の事務局長名義の口座に振り込んでいたという。
文化賞・芸術賞事業は、8年度は府と市で事業費が計約2000万円あったが、財政難から12年度には約1200万円に減少。18、19年度には1092万円にまで落ち込んだ。一方で副賞の賞金は17年度の70万円が18年度からは100万円に増額され、事業費を圧迫。このため、ここ数年は、繰り越し口座にあった残金約240万円を取り崩し、不足分にあてていたという。18年度には「財政が厳しいので残余金を戻すのがあるべき姿ではないか」と各約20万円ずつを府と市に戻し、繰り越し口座の残金はゼロになったという。
18年度に総額約6850万円の裏金が発覚した府は、当時、全庁調査を実施。しかし、この口座は残金がゼロだったことや事務局を1年ごとに交代する事業が調査の対象外だったことから、府に報告されていないという。
大阪文化賞・芸術賞は、昭和38年度から大阪の文化、芸術分野で顕著な活動を行った人や団体を表彰する事業で、府と市などが主催している。これまで、文化賞は民族学者の梅棹忠夫や作家の小松左京、芸術賞は作家の司馬遼太郎や田辺聖子、デザイナーのコシノヒロコや建築家の安藤忠雄の各氏らが受賞している。