長野聖火リレー出発地変更、代替候補地4カ所に絞る2008年04月18日20時02分 26日の長野市の北京五輪聖火リレーの出発式会場が18日、善光寺境内から変更されることが決まった。同寺が「チベット弾圧への憂慮」を理由に辞退を申し出て、実行委員会側が受け入れた。実行委は代替候補地を同寺周辺の4カ所に絞っており、リレー走者の順番を公表する23日までに決める方針だ。
同市の聖火リレーで初の計画変更となった。市や日本オリンピック委員会(JOC)などでつくる実行委側は、4候補地の場所を伏せているが、当初の計画のコースや距離を極力変えず、最小限の変更にとどめる方針だ。ただ、新たな出発地を選定したとしても、その後に状況が変われば再見直しもあるとする。 当初計画では、聖火の出発式・点火式は午前8時から善光寺境内の本堂(国宝)前で開催。聖火は午前8時半、本堂の数十メートル南側にある三門(国の重要文化財)を抜けて市街地に出る予定だった。 8日前になっての突然の辞退について、善光寺は実行委と共同会見を開いて説明。同寺事務局の若麻績(わかおみ)信昭・寺務総長は「文化財や信者を守らなければならない。また、チベット人の人権への弾圧が行われていることについて同じ仏教徒として憂慮した」と理由を述べた。 背景には、善光寺内に混乱への懸念や仏教徒としてのチベット側への理解があるとみられる。同寺参道に並ぶ宿泊施設・宿坊の住職は「世界中で混乱が起きている状況を踏まえれば、出発地を返上することもやむを得ない」と話していた。 別の宿坊の関係者は「平和の象徴である善光寺で、厳戒態勢が敷かれたり、万が一、暴動などが起きたりするようでは困る」と語った。ほかの宿坊の関係者も「世界に善光寺をアピールできるチャンスだった。抗議に負けないように開催できれば良かったが問題が起きると困る」と語った。 辞退を認めた実行委の名誉副会長・鷲沢正一市長は「尊重したい。善光寺には多くの抗議が寄せられ、心配している」と述べた。実行委を構成するJOCや県警など各団体は変更を了承したという。北京五輪組織委員会も「出発地点の変更にはこだわらない」と理解を示した。 ただ、3千人規模の警備で備える予定だった県警幹部は「人が最も集まる出発式会場は、警備上最も重視すべき場所。この時期の変更は大変だ」と困惑する。警察幹部は「こちらは臨機応変に対応するほかない。新しい計画を立てるためにも、少しでも早く新しいコースを出してほしい」と話した。 PR情報この記事の関連情報社会
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