(cache) 虎豹別墅「武松打虎」の間違いさがし (Singapore)

Tomotubby と Pet の奇妙な旅 Blog。
時系列順にお読み下さい。複数の旅行記が断続進行中かも。


	\| Tiger Balm Gardens \| 2004年07月23日 \|
	虎豹別墅「武松打虎」の間違いさがし (Singapore)


	薬売りの話からずいぶん脱線してしまいましたが、虎豹別墅に話を戻し、次に行きます。次は中国四大奇書の一「水滸伝」において、人気を誇る英雄、天傷星行者武松の物語です。水滸伝のテキストとしては、明代中葉後期に著された百回本が一般的ですが、百回中、武松の活躍について書かれた部分が十回もあり「武十回」と呼ばれています。武十回では、梁山泊の他の英雄たちがあまり登場せず、まさしく武松の一人舞台という展開となっています。武十回には、大きなヤマ場が何回も訪れますが、最初のヤマ場が、今回ご紹介する景陽岡における人食い虎退治なのです。武松打虎この場面には間違いがいくつかあります。お判りでしょうか？ ①まず奇妙に感じるのは、武松が拳で打ち倒した筈の虎が、黄と黒の縞模様の見慣れた姿ではなく、獅子の姿をしています。獅子と言うより、獅子舞のように見えます。必殺無影脚で名を馳せた黄飛鴻の映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズに出てくるような獅子舞です。ここまでにもご紹介しましたように、虎豹別墅には、馴染みのある黄と黒の縞を持つ虎の像は、マスコットも含めてたくさん見られました。よりによって中華民族の誰もが知っている「武松打虎」のシーンで、虎を獅子に替えているのはいったいなぜでしょう(?_?) ここからは Tomotubby の勝手な憶測ですが、胡文｢虎｣一族としては、そりゃ、やはり、創始者や会社の分身である「虎」がぶん殴られるのは、面白くないし、縁起がよくないでしょう。しかし、庭には水滸伝のシーンも欲しい。悩ましいところです。虎に替えた獅子はいわば妥協の産物ではないでしょうか。 ②次は「水滸伝」のコアな読者でないと判らないと思いますが、酒に酔った武松は「打虎」の字の通り、拳骨で虎の顔面をポカポカ殴りつけ、ノックアウトさせたのでした。実はそのへんが武松の人並みはずれた凄いところなのです。よって、この像のように剣のような武器は一切使っていません。せいぜい最後にとどめをさすため、棒で虎の頭を叩いた程度だったのです。 ③もうひとつは、純粋に時代考証の誤りでしょう。武松の背後にいる男が鉄砲を手にしています。「水滸伝」の時代設定は北宋の時代、日本で言えば平安時代ですから、鉄砲はおろか火薬すらも発明されていません。また武松は、実兄武大を訪れる道すがら、景陽岡では一人で虎と闘っており、このような人物は原作にも登場しません。ただ、虎を殺して景陽岡から下りた武松が、猟師と出会い、虎を倒したことを話したところ、信用しないので、猟師を連れて虎の死骸のある場所まで引き返しています。恐らく鉄砲を持つ男は、この猟師なのでしょう。時間が経過した二つの場面を一つの場面で表現しているわけです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中国で「武松打虎事件」なる有名な知的所有権訴訟がありまして、以下に「勝手に引用」(これって著作権侵害してるかな？) してご紹介します。 ======================================= 電子マガジン中国最新情報 No.245 2004年2月3日 1954年に画家の劉継ヨウ氏は、組画「武松打虎」を製作した。1980年、山東景陽岡醸造所が劉継ヨウ氏の組画の第11枚目に手を加え、生産した白酒の酒瓶に装飾として用いた。その後、この工場は1989年にこの図案を商標局に商標登録し、許可を申請した。1996年、画家の劉継ヨウ氏の相続人である劉薔氏と裴立氏は裁判所へ訴えた。これが、一大センセーションとなった「武松打虎事件」である。海淀区裁判所は被告に対し、著作権者の著作権を侵犯したと認定し、権利侵害の即時停止、原告へ損害賠償金20万元の支払いを命じる判決を下した。その後、被告は判決を不服として控訴したが、北京市第一中級人民法院は控訴を棄却し、一審の判決が確定した。講評：この訴訟は、学術界、司法界でとても大きい反響を引き起こした。この訴訟を通じて、多くの企業は他人の作品をいかに使用すれば合法であるのかを学んだ。
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