Tomotubby’s Travel Blog
Tomotubby と Pet の奇妙な旅 Blog。
時系列順にお読み下さい。複数の旅行記が断続進行中かも。
 
  |  Asia 「圓」な旅   |   2005年10月28日  |  

小説「白檀の刑」で作者・莫言の並みはずれた表現力を感じたのは、「第九章 処刑」に書かれた、袁世凱刺殺未遂の咎で銭雄飛が処せられる「凌遅五百の刑」の場面でした(今回は、前々回、前回にも増して話が残酷になりますので、こういうのが苦手な方は読み進めるのをご遠慮下さい)。「凌遅の刑」とは、別名「百刻みの刑」とも呼ばれています。処刑人が鋭利な小刀を手にして、罪人の肉体をわずかずつ切り取っていきます。予め定められた刀数に至るまでは罪人を生かし続け、最後の一刀によって死に至らしめるという残虐な処刑法なのです。「凌遅刑」はまた「魚鱗割(魚鱗切り)」とも呼ばれています。小刀で肉体を切りおろした跡の形が、魚の鱗のように見えるからです。人間に施すと残酷極まりない処方ですが、魚でいえば「活けづくり」といったところでしょうか。

真偽の程は判りませんが、「白檀の刑」によると、明代の「秋官秘集」なる書物に「凌遅の刑」についての詳しい解説があり、
凌遅は三等に分かつ。
第一等は三千三百五十七片に刻む。
第二等は二千八百九十六片に刻む。
第三等は千五百八十五片に刻む。
と書かれているそうです。ただし、清代になってからは最高でも五百刀の執刀になったそうです。

小説では、この最高執刀数で行われた「凌遅五百の刑」が行われます。第一刀が右の乳首、第二刀が左の乳首、第三刀もやはり胸.....第五十刀で両胸の肉は全て切られ、肋骨が現れ、肋骨の間に薄い膜が覆い、心臓が踊ります。第五十一刀で性器を、第五十二刀、第五十三刀で睾丸を、第五十四刀は、袁世凱の命令で罵詈雑言を封じるために舌を切り取り.....続いて二百刀で太股の肉を、五十刀で両腕の肉を、さらに腹から五十刀、左右の尻からそれぞれ七十刀を切り取り、残すは六刀のみ。四百九十五刀目で左耳、四百九十六刀目で右耳、四百九十七刀目で左目、四百九十八刀目で見開いた右目を切り、四百九十九刀目で鼻を削ぎ、五百刀目、最後の一刀で心臓を刺し貫き致命傷を与えるのです。

アルト・サックスの奇才、ジョン・ゾーンのアルバムに「凌遅 LENG TCH'E」のタイトルを冠したものがあります。かつてそのジャケットは、清末に北京宣武門外の処刑場・菜市口で行われた「凌遅の刑」の写真が用いられていました。小説のように両胸から切り削がれて肋骨が見えます。小説と違うのは、脚が切断されようとしていることです。思わず目を覆いたくなるほどに残酷な光景です。

これです↓(気の弱い人はくれぐれもクリックなどしないように)


(三日間悩んだ末にこの記事をアップしてしまいました。ワナワナ)

つづく

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