今号のOGは、闘う男のシンボル「城」をテーマに落城寸前!といった感じでお送りいたしておるのですが、城といえばやはりこの方、ドラゴンの栄名をを持つ生ける伝説的プロレスラーであり、日本屈指の城マニアでいらっしゃる藤波辰爾さんにご登場願わないと始まらないということで。
「ですねぇ。ボクほど城を愛してる男はそういませんから!(満面のドラゴンスマイルで即答)」
ありがとうございます、では早速ですが......
「(遮って)もう全部見てますから! ボクは日本中のをぜ〜んぶ見てますから!!」
日本中のをぜ〜んぶって、城のことですか?
「日本中の城はもう全部見てますから!......、あれ? (30秒ほど沈黙後)......あ、一城見てないや」
アハハハハ、ひとつだけ見てないお城がありましたか(笑)
「忘れてた忘れてた! 北海道にね、まだ見ていない城がひとつ残ってるんだよ。それを見たらもう天下統一だよぉ! 日本中のお城をね、本丸が残っているのも、城跡しかないとこもぜ〜んぶ見たことになるからねぇ、うんうん(あり得ないほど満面なドラゴンスマイルで)」
いやぁ、素晴らしいですねぇ。インタビュー開始数分で藤波さんの城LOVEっぷりが体中に伝わりましたよ! でも、そもそもどうしてそんなに城が好きなんですか?
「なんとなくだね(即答)」
な、なんとなくですか!
「うん、なんとなく。ボクは時代劇が子どもの頃から大好きなんだけど、多分ね、城が好きっていうのはそっからきてるんじゃないかなぁ。だからなんとなくっていうか、建築的にだとかそういった難しいことじゃなくてさ、なんだか思わず憧れちゃうんだよねぇ、戦国武将にさぁ(ニッコリ)」
戦国武将に思わず憧れちゃいますか!
「一国一城の主とかって言うじゃない? そういうのになんとなく感銘を受けるっていうかさ。城っていうのはもうまさに一国一城の主の象徴的な存在なわけでしょ、そういうのってボクは男として好きだね」
城を見て一番目に目が行く部分って?
「大きさ! 大きいのがいいね(ニッコリ)」
大きいのが好き!
「城の大きさっていうのは、その城を持っていた武将の強さに比例しているみたいなもんだしね。もちろん、小ぶりでシブい城もあるし、そういう城もボクは大好きだけど、一番最初に目が行くって聞かれたらやっぱり大きさだよ。プロレスラーだってそうじゃない? やっぱり小さいレスラーが見せる技術よりデカいヘビー級のレスラーほうが最初は目が行くでしょ」
た、たしかに。城から何か感じるものっていうのはあったりするんですか?
「闘う男の信念をもらえるね」
おぉ! じゃあ試合前とかに会場の近くに城があったりしたら闘う男の信念をもらいに行ったりすることも?
「巡業のスケジュールが決まったら一番にすることが『この会場の近くにはあの城があるな、この体育館の近くにはこの城があるな、ここの会場からちょっと遠出すればあの城が見に行けるな』ってまず考えるよね」
一番にすることが城チェック!
「今じゃ会場や体育館の名前を聞いただけで近くの城を答えられるし、その城の姿形を頭の中で鮮明に思い描くことが出来るし、リアルに作ることだってができるよ!」
もしかして、各土地での印象深い試合なんかより、その土地にある城の印象が先に浮かぶとか?
「うん、そうだね(キッパリ)」
最高です! プロレスラーになってから一番最初に見た城っていうのは?
「昭和45年から46年頃かなぁ、その頃ボクはデビュー前でね、九州の巡業からついてまわったんだけど、最初にそういう気分で見たのは鹿児島城だね。そのときは入門当時だし、城を見て思いにふける余裕なんてなかったんだけど、さっきも言ったように城というのは闘いの場所というか、闘う男のシンボルなわけだし、闘う男としてなんかこう沸き立つものがあって、それから城をそういう目で見るようになったんだよね」
炎の飛竜、ドラゴン藤波の闘心の原点は鹿児島城にあったんですね!
「そんなことないよ、だってボクが城の中で一番好きなのは彦根城だから(あっさりと)」
へ!?
「彦根城が好きだね。こじんまりした城なんだけど、これがまた優雅でいい感じなんだよねぇ。ボクはさ、もうホントに彦根城が好きで、工務店に見積もりを出させたんだよね」
こ、工務店に見積もり?
「うん、ボクの夢は自分の城を持つことでさ、彦根城みたいな城を建てようと思って、とりあえず工務店にどのくらいお金がかかるか見積もりを出させたんだよ」
本気で城をぶっ建てようと思ったんですか?
「やっぱりさ、男に生まれたからには城を持ちたいっていうのは普通の夢でしょ、 あなたは思ったことないの?」
う〜ん、まぁたしかに一回くらいは思ったことがあるかもしれませんけど......。
「でもさ、その工務店っていうのが大阪の工務店でさぁ、大阪の人なもんだからなんだか大阪城をイメージした青写真や見積もりなんかを出してきちゃって、これがもうとんでもない金額になっちゃった(苦笑)」
ちなみに見積もり金額はお幾らになったんですか?
「100億円(即答)」
アハハハハ!(爆笑)
「あれはスゴかったねぇ。しかもさ、今は割引キャンペーン中だから、藤波さんなら特別に20億円サービスしますっていうんだよ。だから正規の見積もりは120億円なんだよねぇ(満面のドラゴンスマイルで)」
20億円割引! 大阪的などんぶり勘定もそこまできたら美しい文化ですね(笑)
「お得感なんて全然ないよね。まぁ、さすがに100億円は無理だしねぇ......。でも。未だに夢ですよ、藤波城はボクの永遠の夢なんだよなぁ」
藤波さんの夢の城の名前って藤波城っていうんですか?
「そうだよ、藤波城!(ニッコリ) 」
いやぁ、もうホントに最高です! 夢の藤波城建設がもし着工したとして、工務店側は建設期間について具体的な数字を出してきたんですか?
「もちろん出してきたよ、ざっと3年!」
へぇー、城って3年くらいで出来上がっちゃうもんなんですね。
「でも、建設に有する人数は述べ2万人って言われたけどね(苦笑)」
アハハハハ! (爆笑)
「しかも見積もり書に『納期は相談の上』って書いてあったよ。まぁ、城を作る技術に関しては今の技術をもってすれば難しいことじゃないって感じだったけど、材料や人手なんかを集めるのにかなり時間がかかるって言われたね」
夢の藤波城建設にご家族の反応は?
「大反対だよ! ボクの奥さんなんて『そんなお城に住むだなんてイヤ! お城から買い物かごをさげて買い物とか、週末にお出かけするのは絶対にイヤ!』ってもうカンカンで(苦笑)」
も、問題点はそこですか!
「もちろんね、城っていうのはもともと住む場所じゃないよ。戦国時代に戦の戦略を練るところだから、本来は住むところは城から少し離れた本丸御殿ってとこなんだけどさ......(残念そうに)」
藤波さんの問題点もそんなとこですか!
「あ、そうそう! 大分県で城が売りに出されてるんだよね。大分の中津城っていう日本三大水城のひとつなんだけど、そこの所有者が採算が合わないってことで」
城って売り買いしていいもんなんですか?
「所有者がいるわけだからいいんじゃない。観光名所なんだけど、維持費が高過ぎて利益が出ないってことでね」
ちなみに「買いたいなぁ〜」なんて思ってたりするんですか?
「買いたいねぇ(ニンマリ)」
中津城が藤波城になる日も近いと。でも、城ってお高いんじゃ?
「それが3億2.000万ポッキリなんですよ。正直、どうしても買えない値段じゃないんだよね。ボクも一時は真剣に購入を考えたんだけど、いろいろ制約があることと、市や観光局との話が上手くいっていないみたいで、買ってもお客さんに見せたりできないっていうんだよね。それじゃ意味ないし、残念だけどやめたよ」