事故でも故障でもないのに列車が遅れる? 首都圏でこんな現象が相次いでいる。通勤・通学に不慣れな新入社員、新入生らが一部の車両に集中し、乗降に時間がかかるためだ。雨の日は傘のせいで混雑に拍車がかかり、さらに遅れる。過去には満員の車内で貧血などで倒れ、救急車で運ばれた乗客もおり、鉄道各社は「すいている車両に乗って」と呼び掛けている。
18日朝、JR武蔵野線、京葉線などが強風で運転を見合わせた。東京メトロ有楽町線も最大20分遅れたが、その原因は天候ではなく混雑だった。東急田園都市線、東横線も最大20~30分遅れ、広報室は「強風の影響もあったが、フレッシュマンらによる混雑が遅延の主因」という。都心で小雨が降った14日朝も、東京メトロ半蔵門・千代田・南北の3線が混雑のため最大30分遅れ、別の5線も軒並み10~20分遅れた。
東京メトロによると、乗り換えや出入り口に近い車両などに客が集中し、ドアがなかなか閉められず列車が遅れる。全8線のうち、今月前半の朝(1~15日の始発~午前9時)5分以上遅れたのは延べ78路線。3月後半(17~31日)の同じ時間帯の49路線を大幅に上回っており「乗車に不慣れな新入生らによる混雑が原因で遅延が増えている」(広報部)。
都営地下鉄を運行する東京都交通局広報係は「例年通り客が慣れる5月の連休明けに混雑が緩和される」と予想するが、鉄道各社は「急いでいない時は、多少不便でもすいている車両を選んで」と呼び掛けている。【石川淳一】
毎日新聞 2008年4月19日 15時00分(最終更新 4月19日 16時08分)