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【静岡】県立こども病院で未熟児の心臓手術成功 1168グラムで国内最小例2008年4月18日 兜惺ちゃんあす退院へ県立こども病院(静岡市)は17日、体重1168グラムの未熟児の赤ちゃんの先天性心臓疾患手術に成功したと発表した。心臓はピンポン球大、血管は直径4ミリと小さい上、心臓停止を伴う難手術。この手術の成功例では「国内で最も軽い体重」(病院側)で、妊娠期間でも33週で国内最短。手術は昨年11月、生後16日で行われ、今月19日に退院の見込みという。 赤ちゃんは島田市の会社員田中義夫さん(28)の長男兜惺(とうせい)ちゃん。藤枝市内の病院で昨年11月、双子の兄として生まれ、出生時の体重は1176グラム。 1万人に1人の割合で発症する「総肺静脈還流異常症」で、心臓の左心房につながるはずの肺静脈が肝臓の入り口の血管につながっていた。酸素を含んだ新鮮な血液が十分に体に行き渡らず、早期に治療しなければ死亡の恐れがあった。 循環器センター長の坂本喜三郎副院長が執刀し、人工心肺装置を使って心臓を50分間停止させ、心臓と肺静脈をつなげた。現在は体重が2740グラムに増え、元気にミルクを飲むまでに回復した。 会見した母親の愛子さん(29)は「悩んだり、あきらめかけたこともあったが、多くの人に助けてもらい感謝している。丈夫で健康で優しい子になってほしい」と笑顔で話した。 新生児の心臓を停止させる手術は後遺症や合併症の危険性が高く、未熟児ではさらにリスクが高まるという。坂本副院長は「未熟児で生まれた子どもを助けられるとの明るい未来を示した」と述べた。
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