道路特定財源に関する与野党協議機関が設置され18日、初会合が開かれた。与野党とも道路特定財源を一般財源化する方向では一致しているが、ガソリン税の暫定税率の取り扱いをめぐる隔たりは埋まりそうもない。何らかの点で合意し、形に残すという機運はほとんどない中でのスタートだ。
この日、与党側が示した協議のテーマは、一般財源化問題に地方財政、道路整備計画のあり方、関連公益法人改革を加えた4点。できれば、消費税率引き上げも含む税制の抜本改革論議もこの場でしたいというのが与党の本音と思われる。
しかし、小沢一郎代表が就任して以来、消費税論議を封印している民主党が、このテーマに乗ることはなさそうだ。
こうした抜本改革論議はもちろんのこと、そもそもガソリン税の暫定税率復活をめざす与党と、完全廃止を求める民主党が歩み寄る気配はない。今月末以降、与党が衆院で再可決に踏み切れば、野党が反発し、協議機関自体がご破算になる可能性さえある。
それを承知で協議機関が設置されたのはなぜか。民主党は「反対してばかりで協議に応じない」というマイナスイメージを嫌ったためだろう。与党も、野党と話し合う姿勢を示すことで「強引な再可決」との批判をかわすねらいがあろう。
27日投開票の衆院山口2区補選も意識しているはずだ。要するに、互いにアリバイ作りに利用しようとしているのではなかろうか。
では協議はまったく無駄かといえば、そうとは思わない。ここは発想を変え、むしろ双方、どこが一致し、どこが違うのか、それを明確にして国民に示すための協議としたらどうか。
福田康夫首相は09年度から一般財源化するといいながら、道路特定財源制度の根拠法である道路整備財源特例法改正案は手つかずのまま衆院再可決を目指している。改正案は道路財源を10年間維持する内容であり、首相方針と矛盾する。
改正案の修正協議は参院の委員会で行う方向というが、野党側は協議の場でもこうした矛盾を突いて、首相と与党の本気度を試していけばよい。一方、与党も民主党がどうやってさまざまな施策の財源を確保していくのか、具体的にただしていくのである。
私たちは、いずれ衆院を解散し、有権者が総選挙を通じて国会を動かしていくほかないと考えている。
一般財源化された後の税の使い道をどうするか。無駄遣いをどうなくすのか。将来、どんな税体系に改革していくのか。与野党それぞれが協議機関で指摘された問題点を整理し、衆院選で有権者に示すマニフェストを充実させていく。そんな場であっても構わないと考える。協議の中身をその都度、国民に公表していくことも必要である。
毎日新聞 2008年4月19日 東京朝刊