特定企業支援のODA解禁 政府と経団連が合意2008年04月19日00時59分 政府と日本経団連は18日、日本企業の提案に基づく途上国援助(ODA)の解禁に合意した。これにより、たとえば企業が開発した資源や原料・製品を運ぶ際に必要な港湾や道路の整備にODAを使えるようになり、商社などから歓迎の声が上がっている。一方で、相手国のニーズにあった支援になるのか、癒着を生まないのかをはじめ、数多くの課題もある。
こうしたODAは、欧米諸国などですでに導入されているが、日本は特定企業の支援になることを理由に自粛していた。しかし、07年に世界5位に転落したODA予算の効率的な配分のため、民間の持つ情報を活用したい政府と、ODAを利用したい産業界の思惑が一致した。 経団連の提言を受けて、外務、経済産業、財務の各省がまとめた具体策は(1)政府と経団連、国際協力銀行などによる「官民対話」の枠組みを創設(2)四半期ごとにODAの方針や共同調査団の派遣について意見交換(3)在外公館でも民間を含めた「拡大ODAタスクフォース」を組織――など。これを通じ、民間の意向をODAに反映させる。ODAは相手国の要請に応じるのが原則のため、民間投資と連動したODA案件を日本政府が相手国に推薦する仕組みも新設する。 こうした支援は、官民の癒着につながる可能性もあることから、合意文書には「透明かつ公正な公開競争入札など国際的ルールに従う」ことも明記した。 ◇ 「民間単体で出ていくリスクを減らせるのはありがたい」。海外で大規模な投資をする大手商社側は、国による「援護射撃」につながると歓迎している。背景には価格高騰で争奪戦が激化している原油やレアメタル(希少金属)を巡り、中国やインドが巨額の投融資と結びつけ、獲得に乗り出している現状がある。 企業が進出先で手がける社会的責任(CSR)活動とODAを結びつけたい、との要望も強い。南アフリカで約1万人を雇用するトヨタ自動車は現地でエイズウイルス(HIV)感染防止の啓発活動やエイズ孤児支援に取り組む。現地法人の丹羽裕之上級副社長は「企業単体では限界があり、政府に力を貸してもらえればありがたい」と話す。 識字率が低いアフリカでは、企業が教師派遣や教材提供など初等教育への支援を手がけるケースもある。三菱商事の是永和夫アフリカ地域代表は「ODAの門戸が開かれれば、政府と話し合いながら物事を進めることができる」と期待感をにじませる。 一方、日本国際ボランティアセンター(JVC)前代表理事の熊岡路矢・東大大学院客員教授は「色々な方法を模索することは評価できる」としながらも、「日本政府は、新興援助国による資源獲得のための人権・環境配慮に欠けた経済援助、軍事援助を批判してきた。その方針を徹底するなら、ODAの軸を、貧困削減、水・基礎教育・基礎保健に定めて実施し、アピールしていく選択もあるのではないか」と話している。(村山祐介、斎藤徳彦、南島信也) PR情報ビジネス
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