ペットブームに乗ったのか、猫の駅長が人気を集める。岡山電気軌道の子会社・和歌山電鉄貴志川線の無人駅・貴志駅の三毛猫「たま」だ。
駅売店の飼い猫を「客招き担当」として昨年一月に任命したところ、客足が増え、かわいい勤務ぶりなど収録した写真集も出た。廃線が検討されていた同線を二年前に引き継いだ岡山電気軌道にとって、まさに招き猫となった。
せんべいで危機を脱したローカル線もある。二〇〇六年十一月、資金不足に陥った千葉県の銚子電鉄はネットで窮状を訴え、ぬれせんべいの購入を呼び掛けた。
地元名産のしょうゆを付けたぬれせんべいは、もともと副業として自前の工場で製造し、駅などで販売していた。メディアに取り上げられたこともあって注文が殺到、資金が確保でき、支援の市民団体まで誕生した。
「アテンダント」という女性乗務員で有名なのが、廃止路線を五年前に復活させた福井県のえちぜん鉄道だ。切符販売から観光案内まで手掛け、笑顔の接遇が評判だ。近刊「ローカル線ガールズ」を読むと、利用客の目線に立った目配り・気配りに感心させられる。
経営の厳しい各地のローカル線だが、再生例には、まず“地域の足”を守ろうという地元住民の熱い思いがあった。これに話題が付けば全国へ発信できる。