高速道路に飛び出したキツネが原因で起きた死亡事故ー。責任を巡る裁判で逆転判決です。動物の侵入を防ぐ対策が不十分だったとして、遺族が東日本高速道路などを訴えていた裁判で、札幌高等裁判所は高速道路側に責任があるとして遺族側の訴えを認めました。
裁判所に向う室蘭市の高橋雅志さんと妻の利子さんー。高橋さん夫婦は7年前、長女の真理子さん(当時34歳)を事故で失いました。その現場は、苫小牧市の道央道ー。真理子さんの車が飛び出してきたキツネを避けようとして中央分離帯に衝突、そこへ、後続車が突っ込みました。動物の侵入防止対策が不十分だったとして、真理子さんの両親が東日本高速道路などを相手に9000万円の損害賠償を求めました。一審の札幌地裁は「対策に欠陥があったとは言えない」として訴えを退けました。しかし、きょうの控訴審の判決で札幌高等裁判所は、キツネが頻繁に道路に侵入する場所であるにもかかわらず、十分な対策をしていなかったのは道路の安全性に欠陥があったとして、東日本高速道路に5000万円の賠償金を支払うよう命じる逆転判決を下しました。
(高橋利子さん)「これで亡くなった真理子の命が少しでも報われると思ったら悔しい反面、嬉しい」
現在、道内の高速道路では動物の侵入防止対策として、一部の区間で高さ2.5メートルの柵が設置されています。しかし、シカやキツネなどの動物が車にはねられる事故は年間2千件近く起きていて、去年は4人がケガをしています。
(高速道路交通警察隊・国枝明好中隊長)「野生のシカが全体的に増えていて、高速道路に侵入する数も増加」
札幌高裁の判断は動物とクルマとの事故が後を絶たない現状に対して一石を投じる形になったといえます。
(2008年4月18日(金)「どさんこワイド180」) |