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「頭のいい人」はシンプルに生きる
ウエイン・W・ダイアー著/渡部昇一訳
三笠書房 (2006.12.20) 1,300円
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「この本には、自分を大切にし、これからの人生を『快適に生きる』
ための、少し過激するほどの処方箋が書かれている」
これは巻頭にあるこの本の訳者であり解説者でもある渡部昇一氏の言葉である。
世の中には自分の意志でどうにでもなるものと、自分の意志ではどうにもならないものがある。
自分の意志で決めるもの
・早寝しよう
・散歩しよう
・この点についてはくよくよしないようにしよう
3つめは状況によっては相当むずかしい決心が必要かもしれない。
でも、自分の意志でどうにでもなるものに変わりはない。
一方、財産、地位、名声は、自分の意志だけではどうにもならないものだ。
吉田茂は今では名総理と言われる。しかし、当時の吉田茂に対する新聞記事は悪口や罵りでいっぱいだ。
ソクラテスは死刑にされた。
シーザーは暗殺された。
後世となっては偉大と呼ばれる人物も、本人が生きている時代は相手にされないどころか、疎まれ死に追いやられた者も多い。
つまり、他人の思惑など、いくら考えても自由にならない。
早い話が外面的な成功や失敗は、本人の価値とは何ら関係しないということだ。
金持ち自体が優れているのではなく、経済状態が優れているのだ。
だって、あなたは「財産」ではない。
あなたは「あなた」で、あなたの強さは「あなたの考え方」にしかない。
自分の強さは自分の考え方、心の持ち方一つにあるのだ。
他人にいきなりたたかれたり、殴られたりして、怒らない人間はいない。
ところが、意に反して悲しまされたり、みじめない思いをさせられても、それをやめさせるための対抗手段をとろうとしない。とても同じ人間とは思えない。
自分の心をあやつる糸を勝手に他人に渡してよいのか・・
あやつり人形のように生きたいのか・・
自分の意志を貫いて生きよう。
一般的に日本では、個人主義は組織に対するマイナス要因と捉えられがちだ。
しかし、真の個人主義はむしろ組織にプラスの働く。
人間の価値は個人にある。
その独創性が企業にとっても知財となる。
明治維新後日本に根づかなかった思想が「個人主義」であると山本七平氏も指摘している。これからの日本にとって、真の個人主義は必要である。
あやつり人形のように生きるのをやめようと決意したからといって、単に自己主張をすればよいというわけではない。
しっかりした個人哲学を身につけなければいけない。
この本は、そのために書かれている。
自分の人生を、支配するか、それとも支配されるか。
何も考えていないと、いつの間にか、あやつる糸を何者かに奪われてしまう。
他人の意のままにされる犠牲者になってしまう。
あなたを操ろうとする者に対して、腹をすえて「ノー」と言ってみよう。
確かに、人間は自分ひとりでは生きていけないものだ。
だからといって、他人に操られても仕方がないということにはならない。
自由とは、自分の人生を、自分で生きることだ。
自分の人生に責任をもとう。他人がどう思おうが、一向に気にならなくなる。
自分は誰にも所有されない自分だけのものという考え方に立てば、他人とも楽しく交わることができるようになる。
わずらわしい他人に対して険悪な感情を持つこともなくなるだろう。
他人のいいなりにならないための方法は次のとおり。
1自分の現状をよく理解すること
2犠牲になるまいとする勘を働かせること
3犠牲についてよく知っておくこと
あなたを犠牲者にしようと様々な罠が仕掛けられる前に、あらゆる可能性を知り、どんな罠もしりぞけられるよう万全の対策を取っておく必要がある。
あなたを犠牲者にしているのはあなた自身ということもある。
次のような心の中の言い訳は排除しよう。
「どうせ負けることはわかっている」、
「私は凡人だからチャンスはない」
人は自分がなりたいと思っているものになれるのだ。
そのためにはまず、幸福、健康、自己発揮を強く求める姿勢、さらには不当に扱われることがないよう強く求める姿勢を習慣づけなければならない。
あるクラスで、先生が生徒の「知能指数」を送るべきところを誤って「クラスのロッカー番号」を送ってしまった。そして、先生も送られた方の生徒もその事実に気づかず1年がたった。1年後、なんとロッカー番号の大きかった生徒が、番号の小さな生徒より断然よい成績を残していたのである。
つまり、自分を信じれば、なりたい自分に成れると言うことだ。
他人の犠牲なりたくないと思えば、犠牲者になることもない。
そのためには、幸福、健康、自己発揮を強く求める姿勢を習慣づけなければいけない。
「私は頭が悪いから」「名前や数字は覚えられなくて」「読むのがおそい」等々マイナスの言葉を繰り返していると本当にそうなるので気をつけた方がいい。
自分で自分をみじめな鋳型にはめ込んではならない。
自分が選択したことは何でもできる!
自分の人生は、自分だけのものである。
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