現在位置:asahi.com>社会>その他・話題> 記事

鈴与グループ3社も二重派遣 物流業界、違法が常態化

2008年04月17日15時05分

 物流大手の鈴与グループ3社が、職業安定法に違反する二重派遣状態で運送業務を繰り返していたことが17日、わかった。東京労働局が2月、3社に是正指導をした。物流業界では佐川急便グループや西武運輸でも二重派遣が発覚しており、違法派遣の常態化が改めて浮き彫りになった。

 指導を受けたのは、東証2部上場の物流会社、鈴与シンワート(東京都港区)とその子会社のシンワ運輸埼玉(埼玉県熊谷市)、鈴与グループの鈴与自動車運送(静岡市)。

 3社によると、鈴与シンワートは03年12月から、鈴与自動車運送京浜営業所のコンテナ輸送業務を請け負い、シンワ運輸埼玉に業務を委託して、シンワ運輸埼玉のトラック運転手約10人が配送していた。この際、運転手への指示はシンワ運輸埼玉の担当者が行うべきなのに、鈴与自動車運送京浜営業所の配車係が、トラック搭載の無線機を通じ、運転手に積み荷の受取場所などを直接指示することがたびたびあった。

 東京労働局が昨年11月と12月、3社に立ち入り調査をして発覚。3社の関係は偽装請負であって事実上の労働者派遣にあたるとみなし、職業安定法(労働者供給事業の禁止)違反の二重派遣だとして、2月5日付で是正指導した。

 二重派遣状態で働かされていた元運転手は、「無線で急がされることもよくあった。事故が起きたら誰が責任を取ってくれるのか」と話す。

 鈴与自動車運送京浜営業所では、ほかにもグループ外の約10社の下請け会社の運転手に、同様な方法で指示を出していたという。同社は労働局の指導後、下請け会社を通じて運転手に指示を出すように改善したとしている。

 二重派遣は雇用責任があいまいになり、労災隠しや労働条件の不当な引き下げにつながるとして禁止されている。

PR情報

この記事の関連情報

このページのトップに戻る