MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

【明日へのセーフティーネット】現場はいま(6)暴力団 (1/2ページ)

2008.4.6 09:09
このニュースのトピックス「明日へのセーフティーネット」

受給者がベンツでやってくる?

 「大阪では、ベンツに乗って生活保護を受け取りに来る人がまだいるっていうのは、本当ですか?」。厚生労働省保護課を取材中、若手職員から真顔でたずねられた。

 無差別平等が原則の生活保護法では、組員や元組員でも、本当に生活に困窮していれば、生活保護を支給することは当然とされている。しかし、生活保護受給世帯の増加とともに、制度に対する不信感が広がっているとの指摘から、厚労省は平成18年3月に『生活保護行政を適正に運営するための手引』を作成。「暴力団員は暴力団活動で、不法な収入を得ている蓋然(がいぜん)性が極めて高いが、福祉事務所の調査で把握することは難しい」として、現役の暴力団組員には生活保護を受給させない方針を打ち出した。

 これを受け、大阪市では18年度、現役の暴力団組員と判明した8人からの生活保護の申請を却下し、5人の生活保護を廃止した。暴力団員と疑われた計84件について、大阪府警に照会した結果だった。17年度以前は、却下や廃止の数の取りまとめさえ行っておらず、厚労省通知を受け、改めて暴力団対策に乗り出した形だ。

 暴力団と生活保護の問題は、古くから指摘されてきた。昭和55年11月には、和歌山県御坊市で、暴力団7組織の構成員70人のうち、60人が生活保護を受給していたことが発覚。厚生省が当時行った全国調査で少なくとも56年度中に、暴力団組員969人に生活保護費を支給していたことが判明。自治体別では、福岡県137人、北九州市115人、京都市75人、三重県65人、岡山県42人−などとなっていた。これらの受給者が高級外車などを乗り回しながら、収入をごまかしていた事例も報じられた。

 平成17年度の厚労省のまとめでは、生活保護受給者中の暴力団組員の数は全国で47人にまで減っている。

 しかし、構成員の高齢化が進んでいることもあって元組員2063人が受給。16年度に比べると、現役が17人減り、元組員が107人増えた。現場で問題になっているのは、高齢化した元組員への対応と、巧妙に暴力団の姿を隠した詐欺行為だ。

関連トピックス

PR
PR
イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。