注射することなく、鼻に吹き掛けるだけでインフルエンザの感染を予防できる―。そんな次世代型の経鼻粘膜型インフルエンザワクチン(経鼻ワクチン)の開発に、国立感染症研究所が成功した。経鼻ワクチンは、血中での抗体産生を促す従来の注射型ワクチンとは異なり、鼻の粘膜に働き掛けて抗体の産生を促す仕組み。特定のウイルスだけでなく、変異株への効果も見込めるため、流行株の特定が困難な新型インフルエンザ対策の切り札としても期待されている。
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従来型の注射ワクチンは、死んだウイルス株(不活化ワクチン)を皮下に打ち、血中の抗体の産生を促す仕組みで、インフルエンザウイルスの感染そのものは防ぐことができない。
また、注射型ワクチンが産生を促す血中抗体では、ワクチン株と流行株が一致していないと効果が見込めないため、流行株の事前予測が難しい新型インフルエンザへの対応には限界があると指摘されていた。
これに対し、次世代型の経鼻ワクチンは、不活化ワクチンを鼻の粘膜に吹き掛けて粘膜表面からの抗体の分泌を促進。粘膜へのウイルスの付着を抗体が阻止し、感染自体を防ぐ。
抗体は変異株への効果も見込めるため、新型インフルエンザ対策の切り札として期待できるという。
開発を担当した同研究所感染病理部第2室の長谷川秀樹室長は、「注射による痛みを伴わないので、インフルエンザワクチンの接種率向上にもつながるのでは」とみている。
動物実験で既に効果が確認されており、同研究所では2010年から臨床試験を実施したい考えだ。
更新:2008/04/17 22:42 キャリアブレイン
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08/01/25配信
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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。