▽夜間診療を新設し分散化へ
大人の救急患者を二十四時間受け入れている広島市民病院(中区基町)でも、月二千六百〜三千七百人台で推移する受診者のうち、六〜七割台を占める軽症者への対応が大きな課題となっている。このため市医師会などと連携、本年度末に夜間救急診療所を新設して軽症者の分散を図る。
市が新たな医療体制をスタートさせたのは二〇〇六年十二月末。二十四時間体制で小児科、内科救急を担ってきた舟入病院(中区舟入幸町)から、市民病院に内科部門を移管して救急診療部を設置。夜間も当直ではなく、専任スタッフが対応する仕組みを整えた。両病院の機能分担が明確になれば、待合室の混雑や現場の負担も軽減するというわけだ。
いざ、ふたを開けてみると…。
市民病院には〇七年一月以降、一日百人前後の救急患者が詰めかける。受診の必要はない「コンビニ利用」も少なからずあり、軽症者の占める割合は60〜77%。「内科に限れば八割が軽症。六割が準夜帯の午後六〜十一時に集中する」(市病院事業局)という。
軽症者の安易な利用が重篤患者の治療に支障を及ぼしかねないとして、外部から「市民病院は第三次救急に特化するべきだ」との提言もあった。これに対し、市は現時点では対象を狭めるつもりはない。
改善策として打ち出したのは、患者の分散化だ。内科夜間救急診療所を中区千田町の市健康づくりセンター駐車場に市が設置、午後七時から十一時まで市医師会の派遣医師が対応する。七月着工、来年三月下旬の開設を目指す。
市はコンビニ受診防止に向けては、個々の家庭などがかかりつけ医師を持ち、緊急時に相談できる関係を築くことが大切とし、「市民の理解、協力も呼び掛けたい」との考えを示している。(林仁志)
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