2007年度に紀南病院(和歌山県田辺市新庄町)で生まれた赤ちゃんが878人に上り、数年前に比べて倍増している。06年10月に南和歌山医療センター(同市たきない町)と産科統合した影響が大きく、市の年間新生児数(07年度663人)を200人近く上回っている。全国的に産科医師が不足傾向にあり、紀南病院は「紀南地方の最後の砦(とりで)として頑張っていきたい」と話している。 紀南病院の分娩(ぶんべん)件数は、十数年前から400人前後で推移していたが05年度482人、06年度761人、07年度878人と年々増えている。 05年度は1カ月に20〜50人だったが、07年度は多い月には100人近く生まれている。最近では1日で9人生まれた日もあった。病院の新生児室は、小さなベッドの上で眠る赤ちゃんでいっぱいの状況という。 産婦人科の医師は3人体制だったが、南和歌山医療センターと産科を統合した以降は5人体制になり、24時間体制をとっている。 紀南病院は新生児集中治療室を6床設置し、母体搬送には24時間体制で対応している。産科と小児科が連携し、危険性が高い胎児や妊産婦への医療に取り組んでいる。 その実績が認められ、厚生労働省から07年1月、出産前後の母子に高度な治療を行う「地域周産期母子医療センター」に認定された。 07年11月には、日本助産師会県支部から依頼を受け、助産所5施設(田辺市3、みなべ町1、上富田町1)と医療協力の契約を結んだ。助産所から求められれば緊急的に母子の医療に当たることになっており、毎月2〜3件の依頼がある。 産婦人科の中川康部長(49)は「紀南地方の拠点病院としてできる限り頑張っていきたい」と話す。 病院によると、分娩が多くなっているのは南和歌山医療センターとの産科統合のほか、県外で居住している妊婦が親元に里帰りして出産するケースも増えているとみている。