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長野聖火リレースタート地点変更 辞退の善光寺「仏教者の弾圧を憂慮」
長野市で行われる北京五輪の聖火リレーで、善光寺がスタート地点の辞退を申し入れた問題で、同市聖火リレー実行委員会は18日、申し入れを受け、スタート地点を同寺の境内から変更する方針を決めた。リレー計画の変更を迫られる事態となった実行委は、ルートの再検討を始めた。境内ではなく、参道をスタート地点にすることなども検討されているという。
同日、善光寺から正式に辞退の申し入れを受けた実行委の篠原邦彦事務局長は「大変衝撃を受けている。善光寺の総意として決定を尊重する。コースを変更せざるを得ない」と述べた。善光寺の若麻績信昭(わかおみしんしょう)寺務総長は、理由について「文化財や信者の安全の問題と、チベット問題を考慮した」と説明した。
関係者によると、善光寺内部では、チベット暴動で僧侶が弾圧されていることを理由に、同じ仏教者として境内を提供することに反対する意見や、抗議を懸念する声が出ていた。
こうした事情などから、17日に幹部らが会議を開いて対応を協議した結果、スタート地点返上の方針を確認。18日になって、市実行委側に意向を伝えた。
これまでの計画では、善光寺の本堂と三門の間のスペースに特設会場を設け、26日午前8時から点火式などの出発行事を実施。その後、長野五輪の競技会場などをめぐる18.5キロのルートを予定していた。
聖火リレーをスタートする最初のランナーには、北京五輪野球日本代表監督の星野仙一さんら著名人が予想されている。
■「チベットで無差別な殺人」
「チベットで無差別な殺人が行われた。チベットの仏教者が立ち上がり、それに対する弾圧が行われ、憂慮していた」。北京五輪の聖火リレー出発地辞退を長野市に伝えた善光寺の若麻績信昭寺務総長は18日、市役所で会見し、チベット暴動をめぐる仏教者への弾圧が大きな理由であることを明らかにした。
会見には法衣姿の僧侶4人が並んだ。善光寺には、聖火リレーについて1日100件を超える電話があり、境内を出発式に使用することに抗議する内容の電話も多かったという。
一方、ルートの変更を余儀なくされた市実行委員会の篠原邦彦事務局長は「すぐに上司に報告する」と青ざめていた。